創作ログ「1/7~1/11 ⇒⇒⇒⇒⇒」

仲仁へび(旧:離久)

序章

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 路地裏で鈍い音がした。

 どさり。

 男が倒れる。


 その男の前に立っていた少年は息を吐く。

 時刻は深夜。もうすぐ日付を超えようとする頃だ。

 そんな時間にもかかわらず、少年は家にも帰らず、他の相手を求めてさまよい歩いていた。

 彼は、毎日のようにあちこちの路地裏でケンカをしていた。


 しかし、そんな少年の足を止めるかのように携帯がなった。


?「永野くん、茉莉を見なかったかしら」

?「いいえ」

?「帰ってきてないのよ。部屋からいなくなってて、外に出たままみたい」

?「そんなまさか」

?「……知らないのね」

?「はい」

?「それならいいわ」


 電話を切った少年は走り出す。

 その日は、少年の誕生日だった。

 少年は、家に帰ってないと言われている件の少女に、誕生日パーティーをしたいと言われていたのだった。


 それを少年は忘れていた。

 

 少年は路地裏を振り返らずに、夜の町に消えてしまった少女の姿を求めて、当てもなく走り出した。




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