第18話 異世界の作り方② シナリオ編-1

 それではシナリオ本編を公開します。

 ザックリしすぎていて、このシナリオよりもヒーターの前で寝転んでいる猫のほうがよっぽど役に立つだろうな、と思うことがあるかもしれません。

 リプレイと合わせて御覧ください。どれほど現実とシナリオが違っていて、GMが悩んだり空回ったりしたかがわかり、GMを影であざ笑うことができます。

 そういう意味では、非常に人生の役に立つシナリオだと思います。

 あきらめそうになったとき、くじけそうになったとき、高い障害が立ちはだかったとき、あいつよりはマシだと影で他人を嘲笑うことができるのです。しかも罪悪感もありません。


 ……いや、それほどひどくはないと思いますので、ちょっと見てみてください。


《オープニングフェイズ》


基本方針

※実質、夏木支部にいるのはオープニングのみなので、やれるもんなら調達とかしたいことはしとく。情報もガンガン出す。

※ほかの二人はともかく、フラッシュゲイズを使ってくるキャラがひとり入るのは確定だ――使わせるものか。GMはかたく心に誓った。いくら高経験値卓とはいえクライマックスまで浸食値は上げさせねえ。

※嘘です。そこまで考えてませんでした。

※プレイヤーキャラクターの設定によって、このシナリオの細部は変更になります。


オープニング1 登場:PC2 『教室の噂話』


GM:PC2は教室で帰る準備をしています。教室の隅で女子学生たちがかたまってヒソヒソ噂話をしているのが聞こえてきます。一昨日、消えたまま家に戻っていない小林茉莉の話をしているようですね。


小林茉莉…クラス委員長を押し付けられやすいお人好し。明るく気さくだけど、がんばりすぎて寝込むことも。黒髪ショートヘア。へんな属性とかはない。眼鏡もかけてない。


 PC2が知りたければ、彼女たちから以下の噂話を聞くことができる。


 情報:茉莉が消えたときの状況

 クラス委員の茉莉は、先生たちからの覚えもよく、失踪当日は司書の先生に頼まれて図書室に行っていた。

 準備室で作業をしていたようだが、学校から出た姿は誰も見ていない。


 その後、籐片木蘭子(夏木支部職員)から「すぐに事務所に来てくださいっす!」と連絡が入る。

 蘭子の指示通り、PC2が事務所に向かったところでシーンエンド。


※もし渋った場合、最後は一回リザレクトしてもらってでも事務所に引きずりこむ。それでも拒否した場合、夏木市は大炎上してF○teみたいになるぞと脅す。


オープニング2 登場:PC3 『過去の記憶』


 まったくシチュエーションが思いつかないので、場所はどこにいてもいい。

 回想、街の貼り紙、インターネットなどで以下の情報を開示する。


※この情報は、今後の展開によっては関わらないことがある。

※女神が普通のヒロインだったら、たぶん、みんな構ってくれるけど、今回は電波だから。


情報:夢野百合子行方不明事件


 小学六年生だった百合子は、空想の大好きな女の子で、ファンタジー小説をよく読んでいた。

 ただ、家庭環境が悪く、両親は毎日喧嘩ばかりしていた、と隣人が証言している。

 とうとう離婚が決まった日、彼女は突然、自宅から消えていなくなってしまった。

 警察が一通り捜査したが、誘拐など事件の形跡はなく、家出ということで落ち着いた。

 彼女の住んでいた家は親戚の手によって売却、手がかりは残っていない。


夢野百合子…好きなくだものはりんご。おやつはチョコマシュマロ。趣味は読書で、将来の夢はお嫁さんか看護婦さん。PC3が彼女について思い出すことは、家に帰りたくないのか、学校で遅くまで残って熱心に本を読む姿。


※蘭子からPC2同様の連絡が入る。事務所に向かったところでシーンエンド。もしも渋るようならボスのHPを倍にすると脅す。


オープニング3 登場:PC1 『宿敵消失』


 場所:繁華街にある高級マンションの一室。適当に描写する。


 夏木支部は長年敵対していたFHセル、イリュージョンキングのアジトを発見。年末の一斉カチコミに向けて監視を続けていた。

 だがFHセルに異常が発生し、支部長が呼びだされる。


 アジトはもぬけの空。

 支部の徹底的な監視下、誰もこの部屋からは出てきてはいない。

 当時、室内にはクリスマスパーティのために全構成員が集まっていたはずだが、突然消えてしまったのだ。


 UGN職員が話しかけてくる。


 籐片木蘭子「この本が落ちてたっすよ、支部長!」


 本:革表紙に銀の箔押しが施されている高そうな本。観察するなら表紙に百合の模様が描かれていることがわかる。

 また、重さは五十キロほどと、とても重たい。表紙を触ると、まるで人の肌に触っているかのような柔らかな感触がする。


 本の正体はその場ではわからない。

 蘭子は本を渡したあと、退場する。


 蘭子「PC2とPC3にも、事務所のほうにすぐ来てくれるよう連絡入れといたっす~!」

 蘭子「それじゃ、アタシはここで失礼しま~す」(フィアンセとの海外旅行のため)


 蘭が退出後、支部長は本を所持したまま事務所に戻る。

 その後、次元の狭間に飲み込まれる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る