女子生徒SIDE

1週間後、やっと私は桃音さんに話しかけることができた。

「桃音さん、もし良かったら今日一緒にカフェ寄って帰りませんか?」

カフェで2人で勉強できたら色々と勉強法を教えてもらえるかもしれない。

「お誘いありがとうございます。でも私、すぐに帰らなきゃいけなくて」

(そっかぁ、でもそう簡単に諦めないわよ?)

「都合のいい日があったら教えてもらえますか?」

「…どうしてそんな、私なんかと…」

「あ、あのー、私、桃音さんと友達になりたかったんです!一緒にカフェで勉強とかどうかなって」

桃音さんの目がウルウルしている。

「私と友達になりたいなんて、本当?澪じゃなくて?」

「本当ですよ。桃音さん!」


桃音さんの小さな笑顔が見えた。見慣れないけど、非常に可愛らしかった。


「ありがとう。でも私たち、来週から北海道なんだ…」

来週から北海道?どういう意味かしら?…まさか!

「引っ越…すの」

「ふぇー?ひ、引っ越しー?」 変な声が出てしまって慌てて口を押さえた。


どこかに叩きつけられたような感覚で心に衝撃が走る。


そ、そんな…


私と桃音さんは呆然と立ち尽くしていた。

桃音さんが沈黙を破って言った。

「私、この学校で初めて友達ができて、嬉しかった。どこの学校でも、相手にされない人間だったから…」

桃音さんは今、私のことを「友達」と言った。


「こちらこそ桃音さん、友達になってくれてありがとう!」

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