第5話

 わる~い、とてもわる~いせんそうがおわって、みんながゆたかになったへいわなじだい。

 あるひとりのおんなのこがなやみをかかえていました。といっても、いのちにかかわるようなそんなしんこくななやみではありません。なぜならそのおんなのこのじだいには、もうすでににんげんははんえいきゅうてきにいきていけるようなじだいにとつにゅうしていたからです。

 おんなのこはいわばいれぎゅらーなそんざいでした。ぜんしんがしろくなるあるびののように、あるいはせんしょくたいがいっこふえてしまっただうんしょうのように、あるいはりょうきてきしげきがしんけいをとおってそのまませいてきかいらくへとちょっけつするきょうじんのように、おんなのこはそんなふうにいしつなものをかかえていたのです。それはやさしさがせかいをつつむじだいには、あまりにふにあいでふつりあいでした。

 おんなのこはみたされませんでした。

 みんなでけんこうにながいきをすることこそがしじょうめいだいとされたせかいに、じだいに、おんなのこはなんのもくひょうも、ゆめも、まんぞくもみいだせませんでした。おんなのこは、てきどなふかやしげき、いたみといったものこそがじんせいのしつをよりたかめてくれるのだと、そんないわば、きゅうじだいてきなかんがえしかもてなかったのです。

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