#2 河の流れのように
第一村人発見!
とは言うものの、発見されたのは恐らく僕の方なんだけど。
かつて見た映画や小説、或いはラノベでしか見たことのない耳長の少女に難無く捕縛された僕は、第一村人の故郷か拠点と思われる村に連行された。
殊更強調するまでもない当然の帰結である。現代社会を生きるサラリーマンは戦闘能力どころか運動能力すら微妙なのだ。
雇われ隷属的サラリーマンでありながら適度な運動を心掛け習慣としているのはガチの勝ち組エリートの金太郎系サラリーマンか、変に拗らせた意識高い系底辺サラリーマンだけである。
ちなみに僕はと言えばその中間寄り、負け組の意識低い系底辺サラリーマンである。なにこれ死にたい。
そんなクソカスにも劣る存在の僕は、『この世界』における基本的なルールや常識、慣習など欠片も解らないままに耳長の美少女に連行され、あれよあれよという間に彼女の一族の前に引き渡された。やばいこれ。普通にピンチだこれ!
当面の命の危険を回避するため、状況を脱するために―――虚勢を張る意味で、なめられないように大声で主張した。
ろくろでも回してんのかよと言う程に大袈裟な身振り手振りを全身全霊で添えて。
ルックスはともかく、オツムが少しばかり残念な未開人に、21世紀日本の基礎知識や70年前に制定された憲法や法律、科学技術、物理の法則、クソみたいなビジネスマナーをこれでもかとバカみたいにひけらかした結果、顔面タトゥーまみれのネイティブ族長によく分からないまま曖昧に何となくその漠然とした能力を見初められ、政治的とすら呼べない謎の身内人事的なヨイショの結果、マジで辻褄とか意味のわからぬまま、なんか一族の危機を救うべく軍師になった。
うわ、すげえ。
日本の義務教育は偉大である。
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