第40話「石よ!ならべ 」
私は小さい頃から、石を操る事が出来た。とはいえ、自分で自由に操れる訳でなく、感情の高ぶりで石が動くのだ。
「きゃー!なんで石が勝手に飛ぶの~!?」
だから、いつしかみんなに、気味悪く思われていた。
「こいつ脅かすと、変な力を出すんだぜ!」
と、周りの友達に意地悪されるたびに、私の力が勝手に力を発揮する。
怖くて駆け上がった石の階段。
びっくりしてぶつけてしまった、石のつぶて。
嫌がらせに飛んで来たサッカーボールをはじく石の壁。
「こいつ気持ち悪いから、離れようぜ!!」
そんな時に現れた転校生の男の子。それらを見て転校生はつぶやいた。
「お前って凄いんだな!?」
素直に驚いていた。
「なあ!お前、石を集めてダルマ作れるか!?」
「そんなの出来ないよ~」
「なんだよ!残念だな~。石のダルマが作れたら、これがホントのイシダルマ!!ってどうだあ!?」
寒い!どうやら本人は冗談を言ったつもりだが、実に笑えず寒かった!!
ピカッ!
その時、力が反応した。
ヒュン!
ヒュンヒュンヒュン!!
あちこちから石が飛んで集まり、可愛い石のダルマが出来上がった!
「なんだよ~!出来るんじゃん」
転校生は大喜びだった。
「ねえ私、変じゃない?」
「都会は、変なのが流行ってるんだな?おっもしれ~!!」
さっぱり何を言ってるのか分からないが、そのままの私を、受け止めてくれた転校生に、私はとにかく安堵感で……
「うぇっ!ひっく、ひっく」
と、思わず泣き出してしまったのだった。
◇◇◇
「これがお母さんと、お父さんの馴れ初めよ」
そう言うと子どもたちは、壁にかけてある写真の一つを指差した。
「だから、教会が石だらけだったんだあ~!」
いや違うから子どもたち!
「それは軽井沢にある有名な石の教会なの~!!」
おしまい
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