第2話 昼下がり


俺はテニス部で、今は土曜日の午後練習を終え、学校から出ようとしているところ。


横断歩道を渡り、坂道を歩き...。歩いているとぽつ、ぽつ。


ザアー、ザアー、


急に雨が降ってきた。


しまった、俺は折り畳み傘も何も持ってない...。天気予報は....。


雨だった。


なぜ、傘を持ってこなかったのか....。


とりあえずは近くにある、バス停で雨宿りをすることにした。



「ふう.....」


と一息をつき、本を読むことにした。


ピチャ、ピチャ、


顔を上げるといつの間にか雨はやんでいたようで、息を吸うと雨のあとの独特なにおいがする。水たまりもあちらこちらにある。


やんだのなら、歩こう。


いつもどおりの道をあるこう....としたが、なぜだか今日は少し遠回りの、花屋の前を通る道がある場所に惹かれた。


少し、とおってみようか。


「どんな景色が待っているのだろうか」好奇心につられ、その道を歩いて行く。


花屋に差し掛かった時、


「ありがとうございましたー!!」


花束を抱え、嬉しそうに歩く女性を見かけた。


中学2年ほどに見える。


俺は気がつくと、その女性を目で追いかけていた。


雨上がりの道を歩く女性がもっている花束の花たちは、とてもきれいに見える。

花束もきれいだけど、女性の笑顔をより一層引き立てる、花束。


花束の花は.....。


どれもきれいな花ことばで、その人に似合うような花たち。


スプレーバラ(ピンク)とブルーローズの花束。それに、2、3本、ライラックの白がある。


確か、愛、希望、初恋....の意味だったような気がする。


花に疎い俺も、ブルーローズはきれいだと思った。


花言葉は、母が好きな花だったからよく覚えてる....。


今も好きだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る