第75夜 大停電の夜に

電気の消えた部屋でスマートフォンをいじり終え目を瞑る。朝起きて死んでたら、今までありがとうと思う。ゆきちの世話は頼んだよ。不可抗力の死なら受け入れるしかないのだろうし、みんなにとって前向きな事なのだと思えてしまう。毎日少しずつ死を積み重ねてはいるが、なかなか兆しは見えない。事故や病気で近道するには、それなりの運が必要なのだろうし。生きていくのも、死ぬことも運が関わってくるのか。それを運命と言うのだろうか。


朝起きて、死んでたら、今までありがとうとみんなに言いたい。

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