第5夜 東京事変

2016/06/13 rumi

千代田区 半蔵門 京都


彼らのアルコールにつられて、新宿での終電を逃した僕達は、タクシーの中、首都高速の話をしていた。

半蔵門に入り、宿泊先のホテルを間違えた運転手は料金を割引してくれたが、田舎者の僕には、それが親切なのかどうか判断出来なかった。


ドライバーはどこか挙動不審で、眠気が襲う頭に空返事をさせた。


エレベーターにカードキーをかざし、独特な階数表示に興味を示していた彼女の髪は、綺麗な金色で少し褐色掛かった肌と相まって、とても良く似合っていた。部屋に帰ってくると履いてあった踵の高いサンダルを脱ぎ、クローゼットの前に揃えて置いた。


予約してあったツインルームは小綺麗な部屋で、青を基調としたストライプ柄のバスルームはどことなく都会を感じさせた。神戸震災、昭和64年、京都。その話は睡魔と戦う僕にとって夢現つだった。



白んで来た都会の空を見上げつつ、目覚ましを掛けたが、着慣れないパジャマに汗をかき、うまく寝付けずにいた。

2時間ほど眠ったが、観念して1人朝食を取りに行く事とした。


気だるい身体にトマトジュースを流し込み、荷物をまとめ僕達はチェックアウトを済ませた。


また長い都会が始まる。

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