気づいた事
退院し、学校に再度通えるようになったジェイソン。
ゆっくりと歩いたりして体力の回復をしつつ、皆との会話で盛り上がって。
そんな日々を過ごしていたある日。
ジェイソンは音楽室に向かった。
音楽室では、ケルシーは急にジェイソンが来たもんだから、椅子から落ちるんじゃないかってぐらいには驚いていた。
更にジェイソンがそれに驚いて、後ろにバックしてしまって転びそうになっていた。
「び、びっくりした…もう、ジェイソン!」
ケルシーは恥ずかしかったらしく、顔を赤くしながらジェイソンをバシバシ叩いていた。
ジェイソンはそれをわざとらしく避けながら、「痛い、痛いよ」なんて言っていた。
「っ、そうだ…ジェイソン、私に何か用事?」
ケルシーはなんとか落ち着きながら、ジェイソンに尋ねる。
「うん、ちょっとね」
ジェイソンはそう言って笑う。
「ケルシーに伝えたい事があってさ」
ジェイソンは先ほどの笑顔から一変して、真剣な表情になった。
「伝えたい事?私に?」
ケルシーは不思議そうな表情で。
「うん…二回も癌になって、生死を彷徨って…やっと気づいたんだ」
「この気持ちは…言わないと、伝えないと…きっと後悔する、って」
「…僕…ケルシーの事、好きなんだ」
「ケルシーは…こんな男は嫌いかもしれないけど、ね」
ジェイソンは悲しげに笑顔を浮かべた。
ケルシーは突然の告白に驚いていたが、ジェイソンの表情を見て…同じような、悲しげな表情をした。
「…勝手に決めつけないでよ、貴方の事が嫌いだなんて」
「わ、私はね…ジェイソンの事、好きなんだから」
顔がトマト並みに真っ赤になるケルシーと…その姿を見て、ついつい笑ってしまうジェイソン。
「ありがとう、ケルシー」
ジェイソンはふわりと笑った。
「私が貴方を支えるわ!これから、ずっと…」
「うん、よろしく頼むね…ケルシー」
2人は抱きしめあい、そして、幸せそうに笑ってくっついていた。
生きるという事 こびと @hsmlove
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。生きるという事の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます