Imagines-イマジンズ-

早川トイレ

プロローグ

この世には、ヒーローがいる。

彼らは地球を守るためにいる。

この世には、怪物たちもいる。

彼らは地球を奪うためにいる。


数百年前、地表はこれまでに観測されていなかった種族により侵略された。

彼らは突如地中から現れ、未知のテクノロジーにより地表をまたたく間に蹂躙じゅうりんしていった。

当時の人類は正体不明の彼らの侵略に恐れおののくばかりであったが、そこに突如現れたのが侍姿のヒーローだった。

ヒーローはあっという間に彼らを蹴散らし、地表に再び平穏が戻った。


「しかし侍ってなあ。俺だったら絶対巨乳でかわいい魔法少女だね」

夢見ゆめみヒロムはスプライトの最後の一口を勢いよく飲み干すとそう言った。


「お前のその煩悩ぼんのうの凄さだったら本当にヒーローが出てくるかもな。

実際にヒーローを生み出すには並外れた想像力が必要なんだし」

友人の伊予いよミキトはあきれ顔だ。


「だから俺はずっと考えてんだよ。巨乳激カワ魔法少女についてさ」


「いずれ本当に出てきそうで怖いよ。

お前から出てくるヒーローなんて煩悩にまみれすぎて銀行でも襲いだしそうだけど」


ヒーローとは、元々この世界にいたのではなく、

マザーと呼ばれる人間から生まれる存在である。


マザーとは言っても性別は関係なく、

ヒーローもマザーの体内から生まれ出るわけではない。


ヒーローは人の想像の中から現れる。

そして、そのヒーローを生んだ人間をマザーと呼ぶ。それだけのことだ。

ヒーローの性質にはマザーの思考が直接的に反映される。

だから、数百年前に初めてヒーローが生まれた頃は、侍や仏像など、古風な姿をしたヒーローが殆どだった。


今では多種多様なヒーローがいる。

たとえ見た目が恐竜とか怪人のようであってもそうなのだ。

彼らは日々地球を守り続けている。




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