第6話 じっと見た
ビビらせんよう。
猫なで声で優しゅう。
「怖ないど」
やっと見つけた猫や、気ぃ
メンチ切ってる思われたら逃げるんちゃうかて、目ぇ逸らして。
せやのに。
何や。
何や、お前。
我慢できんとちらっと見たときには、猫は目の前やった。
坊さんが屁を――
て、頭に浮かびきらんうちにさっさと寄って来よって、わしの足に体こすりつけて。
ケツ向けて座りよった。
慣れ過ぎやろが。
お前、野良やろ。
野良は気ぃ張っとるもんやろ。
初めて
わしが怖い奴やったら、えげつないど。
わしを……信用しとんのか?
背中、撫でてみよか。
逃げへん。
毛ぇ、
頭も、いけるか。
目ぇ細めよった。
そないな顔されたらお前――
よっしゃ、ここ掻いたろ。
ここか。
ここやろ。せやろ、な、猫はここや。
ほおか、気持ええか。ほおか。
何や、こっちもか。よっしゃ、よっしゃ。
どうや。
ほおか。
満足したんか、ごろんてなって伸びし出した。
またえらい気持ちよさそうに。
お前、幸せなんやなぁ。
こんだけ慣れとるいうことは、餌もろとるんやろな。
見てみぃ、太ってまるまる――
ん?
老眼きつなってもて、いやけど、何や今……
わし、じっと見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます