遺電子のつづき

ハローイチイチゼロサン

遺電子のつづき

わたしの想像がおよばないほどの昔、

地球の丘から遠い宇宙を見上げていたわたしへ。


そこからいろんな出来事がありました。

ヒト同士で争いあったり、

ヒトと宇宙の人たちで争いあったり、

たくさんの悲しいことがあって、

たくさんの失われたものがあったそうです。

それでもあなたの面影はとても長い時間をこえて、

ずいぶん形をかえて、

わたしに繋がっています。


あまりに姿がちがうので、

あかい血の流れないわたしを見ても「血がつながっている」なんて思えないかもしれません。

できれば、いっしょにお話なんかできたら、

あなたと同じようにあたたかい心で動いているのが見せられるといいけれど。


わたしのお母さんは、

「血が通わなくたって、愛が通えば子供は生まれるんだぜ」って。

言い方がすごくいまいちだけど、言いたいことは一応わかるし、

そのこと自体を否定するひとは、もういません。


おかあさんはわたしにとても良く似ています。

わたしは血の色を知らないけれど、おかあさんも、わたしも、あなたの遠いこども

…似てる、かな?




影すら見えないはるか昔のわたしへ。


あなたが夢見た宇宙でのできごと、地球を飛び越えたたくさんのできごとは、まちがいなく起こります。

想像もしなかったようなトラブルがやってきて、未来に向かって綱渡りをするあなたの足をくじくかもしれないけれど。

それでも、あなたはそのロープを渡りきって、

そしてわたしはここにいる。


いつか、タイムマシンなんて発明ができたら、

本物のあなたと話してみたい。

わたしは、あなたの望んだわたしでしょうか。

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