夢見る精神障害者だった

@yumegai

第1話 私は精神障害者

「もう、会わないほうがいいかな。」と私。


“例のもの”を見せてから、と言うもの、相手の態度がかなり変わってしまっている

ということに、私も薄々気づいていた。


「他の人、探したほうがいいと思います。」


彼女はそう言うと、部屋からそそくさと出て行った。


予測はついていたものの、私はやっぱりショックを隠せなかった。

でも、これが現実というものであった。



私の名は、謙児。一応仮名である。

それから、“例のもの”というのは、精神保健福祉手帳のこと。


いい感じで発展していったかに見えた彼女との関係も、

いずれは明かさねばならない、実は障害者という事実の前に、

今、あっさりと崩れ去ってしまった。


この病気に関わったことがない人が相手だと、こうなってしまう、

ということは経験的に重々承知していたつもりだったが、

彼女ならば、という、淡い期待もやはりこの現実の前では

私がジコチューなだけだったのか、と考えさせられる

始末であった。


そう、私は精神障害者なのである。

病名は、統合失調症と言われている。

その時は、まだ気にしていなかったのだが、

幻覚や妄想という代表的な症状も出ていないのに、

何故だかこの病名がついていた。


その時は、処方されていた薬さえ飲んでいれば、

健常者とは何ら変わりはなかったのだが、

例えば無理やり再就職してしまうと、

パニック障害や極度の緊張、といった症状が

出てしまうので、やはり障害を受け入れねば

ならないのか、と思い知らされるのが実態だった。


そこで、実を言うと、自分の仕事の量を自分で

コントロールできるような、自営業を模索していた

矢先でもあったのだ。



「よし・・・こうなったら・・・」



こうして、失恋の憂さ晴らしとして、始めたのが

私のブログをはじめる発端だったのである。

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