第2話 「特殊能力授与式」

  美女は玉座から立ち上がると、戸賀勇希へ向けてこう言った。


 「ようこそ! アンダーグラウンドへ!」


 「それは、さっき聞いたんだけど......」


 「大事なことなので2回言いました」


 「ファッ!?」


 どこかで、聞いたことのあるやり取りをする。

 そもそも、ここはどこなんだ。

 見渡す限り真っ白で、神殿っぽい建物も真っ白。

 ついでに、お高い場所から見下ろしている美女も真っ白だ。

 健康肩まで伸びた銀髪は眩しく輝き、肌も透き通るほどの白さである。


 白髪の美女は階段をゆっくりと降り始める。

 遠目からでも分かる、

 たわわに実った乳は歩くたびに小気味良く揺れる。

 スリットから時折チラリと覗く、艶かしくスラリと伸びた脚に生唾をゴクリと飲む。


 石段を下りている途中、美女は服の裾を足で踏んでしまったようだ。

 よろけるが、なんとか落ちまいと腕をブンブンと振り回しながら頑張っている。

 頑張っているなら応援してあげないとな、うん。


 「頑張れ! 負けるな! あと、良かったらスケベしませんか?」


 「は、はい! あ、え? 今とんでもないことを......」


 最後まで言い終わる前に、とうとう石段から落ちる。

 落ちる刹那、目には涙が溢れていたことを俺は見逃さなかった。


 「きゃあああああああああああ」


 「おっ!?」


 美女がそこそこの高さからこちらへダイブしてくる。

 これはお約束のラキースケベタイムでは!?

 両腕を大きく広げると、俺はキス顏で待ち受ける。

 苦節16年......夢にまで見た美女とのスケベ!

 それがたった今!実現しようとしている!

 さあ! 飛び込んでおいで! 俺とスケベしようや!


 「いやああああああああああ」


 「あああああああああ!!!」


 飛び込んできた美女は拳を固め、がら空きのボディに一発ぶち込んできた。

 あまりの痛みに、ゴロゴロと床の上でのたうちまわる。

 美女はいてて......と言いながら、拳をさすっていた。


 「あ! ごめんなさい! 石段から落ちてしまったのでつい......」


 美女がペコペコと頭を下げる。

 いや、普通、無意識にみぞおち殴る人がいますか?

 俺ちゃん、吐血しそうなんですけど......

 みぞおちを抑えながら、よろよろと立ち上がる。

 そんな俺に対して、美女は自己紹介をし始める。


 「私、アンダーグラウンドの支配者『ラルエシミラ・ラミシエルラ』と、申します。これから戸賀勇希様のサポートをさせていただきますので、以後、お見知りおきくださいね」


 ラルエシミラはにっこりと微笑むと、そう言った。

 かわいい。

 じゃなくて、いろいろ聞きたいことがあるんですけど!


 状況が未だ理解出来ていない俺にお構いなしに、ラルエシミラは話を進める。


 「それでは! 規則に則り、これから特殊能力授与式を始めさせていただきます」

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