幻想の魔法使い 魔法AIパメラドールとシンクロ120%

玄野ぐらふ

第一部 はじまりの大陸編

プロローグ 魔物大戦

 上空から大きな石が容赦なく降り注ぎ、町を破壊していく。

 数十匹のグリフォンが、弓や魔法で狙えないほどの上空から町を攻撃しているのだ。


(あいつらやりたい放題だな)


 絞首刑台の上で縛られているペルセウスは、上空を飛び交うグリフォンたちを見上げて、どうしたものかと思案していた。


「ペル様! 魔物たちが町に雪崩込んで来ます!」


 光の妖精クリスタが、魔物の大群が町に侵入しはじめたことを告げた。

 つまり、町の南門がすでに破壊されたということだった。


 冒険者ギルドの情報が間違っていたということかなのか?

 いや、おそらくそうではない。奴らは故意に侵攻の速度を早めたのだろう。

 シーラシア防衛隊は魔物たちに裏をかかれたのだ。

 ペルセウスでさえ魔物がここまで戦術的に動くとは予想していなかったのだ。彼らが騙されても仕方のないことかもしれない。


「クリスタ、パメラ、プランBに切り替えて、あの魔法を使うぞ」


 魔法の出し惜しみをしている場合ではなかった。

 幸い町民たちの避難は済んでいる。

 今こそあの魔法を使うべきだろう。


 町に侵入した魔物たちや、まだ防護壁の外にいる魔物たちの総数は八百匹ほどである。

 ペルセウスは魔眼を使って、巨人族を中心に大型の魔物を捉えた。

 それはペルセウスの頭の中で、地図上の赤い点となって現れている。

 

「パメラ、俺の頭にシンクロしてくれ」


『ペル様、既にシンクロしている。いつでもいける!』


 ペルセウスのヘッドギアに組み込まれた魔法AIのパメラドールは、幻想魔法を発動する準備を終えていた。


 ペルセウスを縛り付けていたロープが一瞬で蒸発して、ペルセウスは両手を空に向けて突き出した。


「幻想魔法! ペルセウス座流星群!!!」


 ペルセウスが魔法を唱えると、成層圏より更に上空の空間が歪みだし、テニスボール大の石が次々と出現した。


 出現した石は重力で加速しながら空気との摩擦で燃え上がり、ペルセウスによってロックオンされた魔物たち目掛けて降り注いでいった――。

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