始まりの魔王、最後の勇者。

翡翠しおん

prologue

 むかし、この国は、にんげんとまぞくであらそい続けていました。

 水はかれ、木はくちはて、人びとはつかれ果てていました。

 そんな時でした。

 ある人が、まぞくの王を殺しました。

 にんげんが、まぞくに勝ったのです。

 それから、まぞくはひっそりと息をひそめて生きるようになりました。

 まぞくの王さま、つまり、「まおうのこども」はいまもどこかで生きているとも、いわれています。


 こうしてにんげんは、へいわにくらすことができるようになりました。

 にんげんは、まおうとたおしたその人を、ゆうしゃとよび、みっかみばんのおまつりをしました。

 ゆうしゃの子どもも、いまもどこかで、生きているかもしれません。


――『初等部社会教本より抜粋』

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