「明るく生きろ!」という人について

 わしは普段から無口でテンションは低めだ。


 嫌なことがあると、そのテンションはより一層低くなる。


 そんなわしを見てまわりの人は元気を出せ!明るく生きろという。


 八割嫌なことで占められている日常を毎日明るく生きるためには何かを諦めたり吹っ切ったりでもしないとないと無理な気がする。


 わしに明るく生きろと説教する人や、普段から明るく生きている人々は早々に人生のどこかで叶わなかった何かを捨てたり手に入らなかったものを諦めたりしてきた人なのではないかと思う。いろいろなものを手放して身軽になったから上を向いて前向きに生きていられるのだろう。そうでもなければこんな世の中を明るく前向きになんて生きられるわけがない。


 何も手放さず四六時中天然の明るさを保っている人間がいるとしたら、それはきっと怪しげな薬をぶち込んでいるかやけっぱちで生きている人の皮をかぶったモンスターだ。


 明るく生きろという人はわしに何かを捨てろと言っているのだろうか?


 いったい何様のつもりなのか?


 わしが明るく生きるようになったらご褒美でもくれるのだろうか?


 きっと何もくれないだろう。明るく生きろという人は言うだけの人でわしの中身など興味はないのだ。ただ言いたいだけの人なのだ。


 そういう感じの人には近寄らないようにしているが、逃げられない場合もある。そんなときはテロリストにでも遭遇してしまったような気分になって、自分の運のなさを呪いたくなる。


 明るく生きたところでメリットってあるのだろうか?


 いまだによくわからないが、わしは何も捨てたくもないし諦めたくもない。無理して笑いたくもないし他人に従いたくもない。


 暗くても元気がなくてもわしは身の丈に合ったテンションで生きていきたい。



 


 


 

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