第3話 本領発揮! 弥生の超嗅覚
日没後。
「面白いおうちに住んでいらっしゃるんですね」
「変なところでしょ?」
苦笑してそう言う
「そんなことないです。素敵だと思います。私は古い木造家屋にばかり住んでいたから、こういうの憧れます」
少女らしいその様子に
「ふふふ。ありがと。ところで
人族。
その言葉に
「
妖魔には必ずと言っていいほど前世があり、もとは動植物であったり、無機物であったり、人であったりする。
夜の間、妖魔らは自分の意思で姿を生来のものに戻すことができるが、人族の妖魔は夜になっても姿は昼の間と何ら変わりはない。
だが、能力の面ではしっかりと本領を発揮する。
「
「
彼らが
警察の専門家でも捕らえられない相手の
「密航者が
「それを捜査協力のために
「そういうこと」
そう言うと
「これの分析を頼みたい」
「了解しました」
超嗅覚能力の持ち主である
10秒ほどニオイを嗅ぐと、
「この灰には微量ながら吸った本人の呼気が残っています。間違いなく妖魔が吸ったもので、しかも吸った日時は事前情報にある船の入港日と同じ日ですね」
「そんなことまで分かるの?」
「はい。これを吸っていたのは獣族の妖魔で女性です」
驚いて言葉を失う
「獣の種類は?」
「いくつかの可能性が考えられますが、猿やイタチなどのようにニオイが強くはないですし、クマなどの大型妖魔に比べると繊細なニオイですので、おそらくイヌ科かネコ科のどちらかだと思います。このニオイだけだと、そこまでが限界ですね」
まだあどけなさの残る少女にも関わらずその冷静な分析は、彼女が頼れる存在であると
「十分だよ。よし。じゃあ次はこれが落ちていた場所に行ってみよう」
笑顔でそう言う
「行けるの?」
「ああ。桃先生にお願いして該当する船をチャーターしてもらった。ただし、料金はこっち持ちだから借りられるのは一時間だけな」
目的がハッキリとしてきたため、
「そこに行けばもっと詳しいことが分かりそうね」
相棒の目が燃えてきたのを見て、
「ああ。警察による指紋採集や警察犬を使った捜査でも不自然なくらい痕跡が残っていなかったそうだ。だけど
「ご期待に沿えるようがんばります」
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