新事業開発
山川一
第0要素 起業との縁
はじめまして。ボクシといいます。生まれは長崎で実家は農家と塾をやっておりました。そこの長男として生まれたのが私です。父は塾をはじめ順調にいっておりましたが、父いわく、塾は少子化の波などを受け、父の代で「 潰 れ る 」と豪語しておりました。、私は長男ながら、幼少よりどうやってこの実家を立て直すのかを考えながら過ごしておりました。実際のところ大人になってみれば塾事業も順調で未だ潰れる気配もないのであります。とはいえ、幼少の当時私が思ったことは、父が塾を始められたのだから、自分も何か始めればいいだろうと思ったことが、私が起業を目指したキッカケでございます。
高校では機械科に進みまして、ロボットコンテストなどに参加させていただきました。学校では、金属を実際に削ったり、力学、設計などを学びました。ちなみに、勉強だけはできる方でしたから、自分には大変自信を持っていたのです。しかし、いざチームを率いてロボットを作るとなるとメンバーとの不和、設計の不良、今思えば、そもそも作るロボットのアイデアがよくない、といった具合に苦闘の連続でした。実際のところ、出来上がったロボットはお世辞にもよいとは言えず、結果も芳しくないものでした。しかし、一方で別のチームは大変おもしろいものを作り上げているではないですか。そのリーダーは成績もあまりいい方ではないし、作られているロボットもそれほど技術力があるとは思えません。こちらの方が技術は明らかに優れている。しかし、チームの状態もロボットの出来も明らかに向こうの方が優れているとわかるのです。そこで、技術や知識の限界を悟りました。学校で習うような、技術や知識があってもそれだけではダメ。明らかに何かが不足していると思ったのです。
そこで、チームワークという点に目をつけ、大学では経営学科の方に進みまして組織の運営などを学ぼうと思いました。そこでは、強み/弱みの分析、市場調査など事業を進めていくためのツールを色々と学びました。そして、またチームを組んで製品の開発を考えようということになりました。しかし、ここでも失敗をしました。チームの和は非常によかったように思います。リーダーはよくチームをまとめ、プロジェクトの完成に導いていました。アンケート調査もしました。アイデア出しでも、ブレインストーミングを中心に、様々なアイデアの中から一番よいものを選んだはずです。しかし、出来上がった製品は果たして、本当に人々が欲したものだったのでしょうか?どうにもガッテンがいかないのです。
そこで、次は大学院に進むことになり、アイデアや知識という観点を調べていくことにしました。ブレインストーミング以外にKJ方や、コンピュータ支援を使ったアイデア出しなど色々な研究がされていました。しかしここでも私はまだ核心にたどり着けませんでした。というのも、客観的にアイデアの良さを評価する方法があまりない様なのです。イノベーションなどの研究では、それはよくないと反発されるアイデアの方が実はよかったりする、と言われたりしており意味がわからないのです。そして、同期の友達と一緒にビジネスを立ち上げようなどとやってみましたがやはりうまくいきませんでした。
次にとあるベンチャー企業に入社し、経営企画部というとこに入ることができました。チームがいて、投資家などの資金供給を受け資金も億単位で潤沢でした。幾つかの特許も持ち、実際に製品を開発していました。なんでもできそうに思えます。しかし、実際に会社が動いて製品が開発されていく中でどうもうまく行かなくなってくるのです。宝くじにあたったような資金を持っていながら、それをうまく行かせず企業が傾いていく様子は衝撃でした。
技術でもない、経営でもない、知識でもない、チームでも、資金でもない。
その後、行き場を失ってフラフラとしている時に助けてくれた友人がいました。彼は絵を描いており、彼と色々相談をするうちに、その人がどうにもよいアイデアを出すことに気が付きました。これだ!と思いました。20数年かけて学校を渡り歩きましたが、新事業を立ち上げるにあたって最も大事なことは、芸術の分野に落ちていたのです。もちろん、製品やサービスを育てていくにあたり他にも必要な要素はありますが、他は学校で学べます。芸術あるいは、絵を描くということが学校でもないがしろにされがちでありながら、新事業においてはおそらく最も重要な要素ではないだろうか、と今強く思っています。
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