第2話 爆発の使徒

 俺の名前は伊藤数。日本のマフィアのボスだ。


 俺はアメリカ、ラスベガスのカジノでスロットを打っていた。

 この土地でをしたついでのただの遊びだ。

 俺の周りのスロット台には誰1人として打っている人間がいなかった。

 理由は1つ俺の用心棒、ジャッカルが殺気を放ち、俺以外のスロットを打とうとする客を遠ざけいるからだ。


「おい、ジャッカルここはお前の思ってる程危険な場所じゃないぞ」

「そうですかね、何かがします」

 珍しくジャッカルが俺に反論する。

「何かあればそこらで賭けてる俺の部下が何とかするさ、お前は俺の用心棒何だ良い仕事をしてくれてる。だからたまには休め、気を張り過ぎると疲れて力が必要な時に力が出なくなるぞ」

 ジャッカル、何か言いたげなにするがそれをやめて後ろの方向に歩き出す。

「了解しましたボス」

 そう言い人ごみの中へ消えていく。


 ジャッカルは、納得していない顔でトイレに向かっていた。

 彼はこの国アメリカ一危険な所で育った。だから感は冴えている、その感が言っているのだ、この場所は危険だと。


 ジャッカルはトイレに行く途中でフードを被った小さい人らを見た、子供だ、5人組。

 ジャッカルはこの場所には不自然な5人組に疑問を感じたがさっきからボスを守るために我慢していた放尿をしたいという思いが5人組を怪しむ事に邪魔をした。


 フードの少女達は所謂テロリストというヤツだ。

 目的は神を地上に降臨させる事。

 これから実行しようとしている行為はその目的を遂げるための手段だ。

 方法は自爆。

 少女達は二手に分かれる、3と2に。

 3はカジノのギャンブルフロアに2はカジノの出口に。

「天国で逢いましょう」

 1人がそう言った、4人はこくり、と頷いた。

 彼女らは戦士だ、死に躊躇いはない。


 最初の爆発はカジノの出口でだ。

 2人のうちの1人が警備員に呼び止められスイッチを押した。

「ごめんね、2人一気に爆発になっちゃった」

 少女は泣きそうな声で言った。

「いいのよ、火薬は2倍だもの。それにここは出口、大体は計画通りじゃない」

 優しい笑いがフードを被った顔から覗く。

 この爆発で1200人が死傷。


 2つ目の爆発はルーレット広場でだ。

 客は少女と爆音をショーか何かかと思った。

神は偉大なりイランイア・ジ・フィマ

 そう呟きポケットに入れたスイッチを押した。

 この爆発で387人が死傷。


 3つ目の爆発はこのカジノで人が一番集まるカード広場。

 黒煙と熱気でカード広場はパニックになっていた。

 少女は興奮していた、光景はまさに聖典の第一戦争だったからだ。

神はイランイア……」

 ケホ、ケホと咳き込む、この黒煙と熱気の聖戦の中に居られるのはやはり神だけだ、と悟る少女。

 意識が無くなっている中でスイッチを押した。

 この爆発で712人が死傷。


 そして4つ目、少女はスロット広場に。

 スロット広場の狭い空間はパニックになった数100人にすし詰めになっていた。

 暴力団組長の伊藤数は煙と熱気で意識を失いかけていた。

 おぼろげな意識の中聞いた。

 少女の声を。

神は偉大なりイランイア・ジ・フィマ!!」


 自慢げな声調が妙に憎たらしかった。

 地獄であったら殺してやる、魂に殺意を刻みつけた。

 この爆発で116人が死傷。



 満月の夜。

 2日後ジャッカルは白装束を着て日本刀を持ちアパートの前に立っていた。

 アパートの全て部屋の窓は閉められて遮光カーテンで中が見えなくなっていた。

 ヒュウ、と吹く冷たい夜風は自分の気持ちと同じようだとジャッカルは感じた。


 このアパートはカルト宗教とアメリカでは評判だ。

 先の声明無き自爆テロとの関係性がワイドショーで疑われている。

 疑いがあるなら裁くのがジャッカルの流儀だ。

 そしてそれを怠った為に彼のボスとその部下が死んだ。

「裁きを下してやる」

 そう言いジャッカルはアパートに入って行く。




「ニュースの時間です」

 巨乳の金髪美女が紙を読みながらそう言った。

 紙を手にもっているという事は速報という事だ。

「昨日、自爆テロ事件との関係があったとされるイランイア教の本部が血に染まったようです。なんと! 本部にいた被害者達62人は無惨にも全員斬り殺されたようです。凶器は日本刀でM4やらAK-47やらで武装していた被害者をものともせずに犯行を行なったようです。犯人は死亡、全員を殺害して自殺したようです。切腹で……やはり日本人は頭のおかしいのばかりですね。さて次のニュースは……」


 ピチュッ、テレビの電源は切られる。

 地獄の死神フランシッドはドーナツを食べながらコーヒーを飲んでいる。

「月島のやつ大丈夫かな?」


 続く。

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