第10話 救援隊編成
結果として、二人の冒険者がギルドに来ていた。1人は大剣を持った、ダルクよりは年上の男性、もう一人は年齢はわかりづらいが、ナイフとボウガンを持った女性だった。星7だそうだ。2人は今回のことについて、受付の女性から話を聞いているところのようだ。当然、この二人だけで探索に出すわけにもいかないということになったわけで、ここにいた4人の冒険者にも指名依頼が入ることになった。
「結局ね……」
「予想通りだな」
元軍人であることを明かしたダルクはある程度実力があると認識されたため指名されている。パトラはパトラで、魔族で魔法が使えるということを登録の時に記入しないといけなかったことと、魔法の使える冒険者をすぐに招集できなかったため行く羽目になった。あとの2人はカリギュラのチームにいたメンバーで杖持ちと獣人ということになっていた。今は行動に当たっての打ち合わせをすることになっている。
「俺はジルという。すまないね、後輩の無茶に巻き込んでしまって……」
「エレナ。私からも、謝る。ごめんなさい」
冒険者二人はカリギュラの先輩にあたるらしい。
「私はミーアです。今回は救援に感謝します、あれでも私たちのリーダーですので」
「私はアキです。カリギュラ様を助けに行くのは当然です! できれば全員行きたいとは思うんですけど……」
獣人がややそっけない態度で名乗り、杖持ちが前のめりになって訴えていた。
「ダルクだ、とりあえずよろしく頼む」
「パトラよ」
ダルクとパトラはそっけない名乗りだけで済ませている。そこから、簡単な作戦会議が始まった。
「さて、ダルクさんとパトラさん」
「ダルクでいい」
「私もパトラでいいわ」
「おっとそうかい? それはともかく、二人はは隠し扉を見つけているんだってね、何か気になるところはあったかい?」
「そうだな、俺はそういうのには詳しくない。だが気になるとすればパトラが『誘引』を使った時に扉の向こうからは反応がなかったことだろう」
「へえ、カリギュラが戻らないところを考えれば何もいないってことはないだろうけど……」
この点をパトラに指摘されたときは気にはしていなかったダルクではあったが、星6にもなる冒険者が戻ってこないとなると、この点は留意すべき点になる。可能性としては、魔物がいないか、反応しないほどの奥にしか魔物がいないか、ほかに原因があるかになってくる。
「『誘引』は今回、1km四方は反応するように発生させているわ」
「ふむ、これだけでは何があるかまではわからないね」
「壁、対魔法って可能性は?」
「エレナ、確かにそれもあるかもしれない。だけど絞り込むには条件が足りないし、そもそも俺たちでは壁の性質まではわからないじゃないか。まあでもそれだとどんな魔物がいるかわからないということにもなる。全力で挑むべきだ」
なるほど、よく考えているとダルクは感心する。軍ではあらゆる可能性を考え、最も悪い想定に従って行動することで被害を抑える指揮が一般的ではあったが、それは冒険者でも変わらないということだろう。軍と違うのは上がいない点か。上がいればどんな無茶でもやらなければならなかった。そのたびに指揮する立場のあの上司が泣きそうな顔で謝ってきたのを覚えている。
「ともかくだ、魔法援護が二人いるのは心強い。罠に関してはエレナに任せてくれ。ダルクとミーアさんは前衛ってことになるけどいいかな?」
「厳しいだろうが仕方ないな」
「わかりました。一応、私には医学の心得があります。何かあれば」
「では、出発しようか。あまり時間もかけられない」
ジルのその一言で、ダルク達は出立した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます