お仕事慣れました?

「んっ……ふぅ、む……ずぷん。くちゅ、ふぅぅ……♪」


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」の、厨房にて。

 ちゅぱちゅぱ唇を重ねる、お嬢様メイドとロリメイド……季紗きさ美緒奈みおな


「ふぁっ、ちゅぱぁ……っ♪ き、季紗ねえ? あたしの……美味しい?」


「んっ♪ ビーフシチューはもうちょっと、あっさり味でいいかしら。その方がキスの味を楽しめるものね♪」


 お分かり頂けたかしら?

 これは真面目なお仕事風景、「リトル・ガーデン」恒例の、料理の試食である。


 リズに由理ゆーり、新人の千歌流ちかるも一緒だ。


「季紗ちゃん、次は私と♪ クリームシチューも試食お願い♪」


 赤のビーフシチューに対し、白のクリームシチュー。

 濃厚ミルク使用のシチューを口に含んで、巨乳で金髪メイドのリズさんが季紗を抱擁。


「ぢゅぶっ、ふぅぅ……♪ ぐぷん、ぐぶぅぅぅ♪ ど、どうかしら季紗ちゃん」


 唾液といっしょに、唇を汚す白いシチュー。

 どろどろ濃ゆいシチューを直接接吻で舌へ渡しながら聞くと。


「ふぁぁ♪ んぶ、ぐぷっ♪ リズさんとミルクシチューの組み合わせ……乳ですね♪」


「何を言ってるの季紗ちゃん?」


 母乳は入れてないですよ?

 頬を赤らめとろんとした瞳で唇を委ねる季紗へ、リズさんが舌を突っ込みながらツッコんだ。


 さて、「リトル・ガーデン」の大切なお仕事である、料理口移し試食……お仕事がんばる先輩達の姿に、新人の千歌流は。


「こ、こ、これがメイドのお仕事……!」


 刺激が強過ぎたか真っ赤になっていた。


 次は由理が、もじもじしながら季紗と抱き合う。


「く、口直しもいるわよね。ピリ辛スープ、セットでお安くとかどう?」


「ふふ、試してみよっか♪」


 で、由理も季紗と百合キス。スープの口移し試飲。


「ぴちゃんっ♪ ぴちゅっ、ぴちゅぱ♪ ぴちゃ、ぴちゃ……ぴちゅぅぅ……っ♪」


「んぷぁ♪ ピリ辛と由理の甘いキスが重なって……オトナの刺激なハーモニーだよぅ♪」


 コンソメベースに唐辛子を効かせた、さっぱりしつつも深みのある味のスープ。

 女の子の唾液と混ざり合うことで、適度なまろやかさがプラスされる。


「ぴちゅぅ、ぴちゃっ、ぴちゃっ♪ シ、シチューとの相性はどうかな?」


「んっ、最高だよ♪ これでいっぱいキスしたら、女の子同士の相性もアップ間違いなし!」


 ちゅぱ、ちゅぱ……。

 代わる代わる百合キスしながら、冬のメニューの、口移しでの感触を確かめるメイド達。

 「リトル・ガーデン」の清く尊い労働風景が、後輩メイド千歌流の勤労意欲を刺激して……、


「ふ、ふーぞくじゃないですか、これぇぇぇ!?」


「む、違うわ千歌流ちゃん! これは真面目な試食なのよ」


 すかさずリズさん反応。

 美緒奈に季紗も、


「そーだぞ新人。うちの料理は基本、百合キス口移しだかんな。キスで試食しねーで、どうすんのさ?」


「ふふ、千歌流ちゃんも早く慣れてね? ほら、食後のデザート口移ししてみよっか♪」


 後輩に手取り足取り、腰取り唇取りお仕事を教えてあげようとする優しい先輩達。


「ちゅっ♪ ちゅぷっ、んぷぅ……♪ ずぶっ、ぢゅちゅるぅ……♪」


「ふぁっ!? ちゅぷん。や、やっぱりふーぞくですぅぅ!?」


 千歌流が季紗に唇奪われながら……いつか自分も言ってたセリフを、叫ぶのを見て、由理は。


(ま、まあ、最初は恥ずかしいかもだけど。大事なお仕事だから、早く慣れてね?)


 なんて感想を抱いたことに、自分で愕然がくぜんとした。


「わ、私、このお仕事に慣れちゃってる……!?」


 百合キスはもう、由理の日常なのです。

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