ときめきハロウィン週間⑥ 変わり始めるもの

「んっ……ずぷっ……。ぬぷ、ちゅぷぅ……♪」


 ニンジン色の舌を、狼少女コスプレの美緒奈みおなの口腔内へ、出し挿れするうさぎさん。


 百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」の休憩室で。

 バニーガール由理ゆーりは、美緒奈を押し倒して、ちゅぷ……ちゅぷ……百合キスしていた。


「んぷぁ、ふぅぅ……っ。んくぅ、む、むぅぅ♪ あ、あたしが、狼なのにぃ……」


 赤い髪のツインテールロリメイド美緒奈、今日もハロウィン用に、おへそが見える露出度高めな狼むすめコス。

 狼の耳に、狼の尻尾まで装備済みだけど……うさぎさんに、食べられてるのです。


「ふぁ♪ んちゅぅ、ぷじゅぅ♪ ちゅむぅ……んん♪ ゆ、由理ぃ、んぷ!? お、落ち着いてぇ……♪」


「ちゅぅ♪ ちゅくぅ、んじゅるぅ……♪ や、やだ、私……」


 美緒奈の唇を、唾液を貪り吸いながら、由理も戸惑っていた。


「と、止められないよぉ……♪ ちゅぅぅぅ……♪」


 狼な美緒奈が可愛すぎて……なんて認めてやらない。


 でも、あのOG会の夜、リズと裸で百合キスを交わしてから……自分もレズなんだって分かっちゃってから。

 唇が、熱く燃えて、冷めてくれない。


 いっぱい、キスしたくてたまらない。


(うわぁぁん、私もう、頭がどうにかしちゃう……!)


「美緒奈ぁ、ちゅぷぅ♪ 美緒奈ぁぁ……♪」


 美緒奈の唇の、甘い女の子の味に、脳が蕩けて。

 唾液になって流れ出てしまうみたいで、それを美緒奈の口へ流し込む。


 舌が絡まり合って、銀の唾液が泡になって、2人の口元を汚して。


(私……壊れちゃったの?)


 こんな欲情百合キスしちゃう自分、知らない。


 由理は怖くなって、涙をぽとり。

 一滴、美緒奈の頬へ落とした。


「……」


 床に押し倒された体勢のまま、美緒奈は、由理の腰に腕を回す。


「……怖がらなくて、いいよ」


「……んむぅ!?」


 びくん、とカラダを震わす由理へ。

 美緒奈が、優しく接吻くちづけを返す。


「百合キス、あたしも好きだから。由理にされて、その……嬉しいんだから、さ」


 れろ、れろと舌を舌で愛撫して。

 美緒奈は夕焼けみたいに緋の差す頬で羞じらいながら、


「ちゃんと……あたしを、味わえよな?」


 由理に食べられちゃう運命を、受け入れた。


「うわ。美緒奈……可愛い」


 ただ純粋に、美緒奈と百合キスしたい、唇を重ねたい。

 そう思ったら、由理のカラダから余分な力が抜けた。

 唇と舌だけに、集中できた。


「ゆ、由理の、ばかっ。あたし、可愛くなんて……!? 百合キスが、好きなだけだっつぅ、のぉ♪ んぷぅぅ……♪」


「ちゅぱぁ♪ んぷ、ずぷちゅぅぅ♪ ううん、美緒奈、可愛い。もっと、キスしたい……♪」


 さわ、さわ。

 美緒奈のコスプレ衣装の下へ手を入れて、由理は。


(ああ、美緒奈をもっと、気持ち良くしてあげたい……かも)


 なんて思っちゃう自分を、受け入れて。

 一瞬唇を離し、美緒奈の耳元に囁いてみたりする。


「可愛いよ……♪」


「!? ばかぁ、んあ♪ あたし、可愛くないっ……♪ 可愛くなんて、ないってばぁ……♪ ちゅぅぅ、ちゅぷぅ♪」


 ちゅぷ、ぬぷ、るぷぅ……。

 ずぷぷ、ちゅっ、ぷちゅぅぅ。


 百合キスが、好き。女の子同士で接吻が、好き。

 そう認めた由理は、美緒奈を喜ばせてあげようと、唇を、舌をべとべとになるまで交わし合って。


 幸せな気持ちに、なってきた。


「ちゅぅぅ♪ むぅ、ふぷぅ♪ んっ……キスって、素敵だね……♪」


 もっと、深いところまで繋がりたい。

 美緒奈の下着の中へ、指が……入ったところで……。


「わ、2人とも楽しんでずるい♪ 私もキスする♪」


 リズと季紗きさに見つかった。


 今日は魔女のコスプレなリズ、上機嫌に参戦。

 由理の頬にちゅっちゅ。


「わわ、リズさん……!?」


 でも由理、内心ちょっぴり、安堵していた。


「ふぁ……♪ んあ……♪」


 事後みたいに息を切らしてる美緒奈の色っぽさに、


(あ、危なかった。リズさんに止められなかったら、私、どうなってたかな)


 ばくばく胸が鳴り止まないのだ。


 そして、ドアの外からそんな由理を見て、季紗が。


「むぅぅー……」


 彼女にしては珍しく、キスの輪に加わらないで。

 なんだか文句を言いたげに、頬を膨らませるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る