ハロウィン編 序章① 後輩より、愛を込めて。

 美緒奈みおなが住む埼玉県所沢市から、電車で10分。

 東京都小平市の共学高校にて。


「むー、試験勉強に身が入らねー……」


 放課後の図書室、奥まったテーブル。

 美緒奈と、クラスメートで百合メイド仲間の宮野りりな、早乙女さおとめ早百合さゆりの1年生3人、中間テスト前の勉強中。


「……あはは、みーちゃんが勉強やる気なの、見たことないし」


 茶色掛かった栗色の髪を、スポーティなショートカットにした美少女、りりな。

 机に突っ伏す美緒奈へ、苦笑する。


「でも、わかるわ。私も、昨日からいまいち、元気出なくて」


 神妙な顔で、清楚な黒髪をいじる、巨乳大和撫子、早百合。


「リズさんのこと、聞いたらね……」


「うん……」


 はぁ、と女子高生3人揃って、盛大なため息をついた。


 来年の春で、お別れ。

 リズから聞かされたのは、まだ昨日のこと。


 美緒奈たち1年生組が「リトル・ガーデン」で百合メイドになった時には、もうリズはバイトリーダーで。ずっと、みんなのお姉さまだったわけで。


 りりなが、数学のノートを放り出し、唇をなぞる。


「……まだ、リズさんに授乳プレイしてもらってないのに」


「もうっ、りりな? それは、私がしてあげてるでしょ?」


「してんの!? その話詳しく!」


 美緒奈、宮野早乙女コンビの「進んでる」っぷりにショック。

 つい大声出るのも、やむなし。顔が興味しんしんだ。


「みーちゃん、図書室では静かにしないとだよ?」


「ふぁぁ、けど、ドキドキするね授乳プレイ……♪」


 羨望の視線を美緒奈から贈られて、早百合が赤くなる。


「み、みーちゃんも、けっこうエッチだよね」


 あんたらに言われたくねーよ、と、口をへの字にする美緒奈。


 それはともかく、と手を叩いて、


「でもさ……えへへ。リズ姉にはいっぱい、教えてもらったから。なにか、してあげたいよね。イギリスへ、帰っちゃう前に、さ」


 由理ゆーりと仲良くしてるのを見ると、胸がチクチクすることもあるけど……でもやっぱり美緒奈は、リズが大好き。

 いつもにこにこ、巨乳聖少女。この1年、たくさん可愛がってもらった。


(リズ姉が喜ぶのは……やっぱ百合キスかな?)


「……だよね、うん。あたしも百合キスが、いちばん嬉しいもん」


 ひとりうんうん頷く美緒奈へ、早百合が首を傾げる。


「みーちゃん?」


「決めた! 決めたよ2人とも!!」


 ガタッと席を立って宣言する美緒奈。


「今度のハロウィン週間……今までのお礼で、リズ姉といっぱいコスプレ百合キスするよ、あたし! 宮野ちゃんと早乙女ちゃんもやるよねっ?」


「み、みーちゃん、図書室では静かに?」


 大胆百合キス宣言に早百合が図書室を見回すけど、もう夕方で彼女達しかいなかったので、安心。


「うん、やろっか♪」


 りりな早速、瞳キラキラ。


「百合キスは、愛の魔法だものね。リズさんへ感謝を伝えるのには、キスしかないよ♪」


 百合キスへの信頼感が尋常でない乙女達である。


「よしっ、じゃあ、みーちゃん。『リトル・ガーデン』巨乳ナンバー2の早百合を、仮想リズさんにして。おっぱい揉みながら、百合キスしよっか♪」


「ええっ、いいの? さ、触ってみたいけどさ、早乙女ちゃんは……」


 宮野ちゃんの恋人でしょ?と遠慮する美緒奈へ。

 早百合はもじもじしながら、制服の胸元、ボタンをぷちぷち外していく。


「い、いいよ。私も、リズさん大好きだもの。お礼するための、練習だものね。それに……触られるの、好きだし♪」


「早乙女ちゃん……♪」


 胸を揉むのが感謝の証?という根本的な疑問には、触れないであげてほしい。

 美緒奈たちは、真剣だから。


 そして、夕日差し込む図書室。

 風に混じって校庭から聞こえる、運動部の声をBGMに聴きながら。


「……ちゅぅ♪ ちゅぷぅ、ぷちゅ……♪ むちゅぅ、もみゅっ。ん、早乙女ちゃんのおっぱい……柔らかい♪」


「ちゅ、ちゅくぅ。ぬぷ、ぬぷぬぷ♪ えへへぇ、早百合はね……先っぽが、弱いんだよ♪」


「んぁぅ! く、ふぅぅ……っ♪ だ、だめ、2人とも、優しくぅ……♪ ん……ちゅぅぅ♪」


 3人の制服美少女が、暮れなずむ放課後、唇を重ね、胸を愛撫する姿……。


(リズ姉のコトも……気持ち良くしてあげたいな♪)


 先輩想いの、よく出来た後輩達です。……よね?

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