人間の生存には乳成分が必要なのです。ぜったい。

「はぁ、そろそろリズさん帰って来ないかなー」


 夏休みも後半、同居人のリズはまだイギリスへ帰省中。

 制服の洗濯やお店のお掃除など、住み込みメイドのお仕事の負担が大きくて、由理ゆーりは疲れ気味。


 腕と背筋を伸ばして一息つきながら、休憩室に入ると……。


「……んぁ、ふっ、んくぅ……♪ ああ、止まらないよぉ……♪」


 清楚な容姿のロングヘア美少女メイド季紗きさが、自分の胸を揉みながら切ない吐息を漏らしていた。


「こ、こらぁぁー!?」


 由理真っ赤になって制止。


「皆の休憩室で、な、ナニして……!!」

「え、えと、えっちなコトしてたわけじゃないよ?」


 説得力に欠ける答えを、返す季紗。


「ほら、最近リズさんのおっぱい揉んでないから、物足りなくて。とりあえず自分ので我慢してみたの」

「なるほど変態だね!」


 容赦ないツッコミを入れつつも、由理。

 ちょっぴり、季紗の気持ちも分かってしまったり。


(た、確かにリズさんの胸の感触が……私も恋しい、ような……)


 ぷにっとしつつ弾力があって、もっちりと吸い付く……ふわっふわ。

 極上のマシュマロに例えるべきか、触っているとそれだけで幸せになれるような……。


「うぐ、へ、変じゃないよね!? 同性だって、巨乳は触りたくなるよね!?」

「だよねー。由理もやっぱり、リズさんのおっぱい触りたいよね♪」


 すると季紗、瞳の奥にハートマークを浮かべたえっちな顔で。

 メイド服の胸元のリボンをほどき、ボタンを外して。

 ピンクのブラごと、白い胸の谷間を露出させた。


「でも今は我慢するしかないし。ふふっ、2人で触りっこしよっか?」

「……季紗って、ほんとエッチだよね」


 あんまり季紗が揉みュニケーションしたそうな顔するから、仕方なく。

 そう、仕方なく。

 仕方なくったら、仕方なく。


 赤くなりながら、由理は季紗の胸を触ってみた。飢えてませんよ?と仰せです。


「お、大きい……。こ、これは、なかなか……」

「んっ……♪ やっぱりこの柔らか感触が無いと、生きてる気がしないよね♪」


 そのままお互いに胸を揉みながら、百合キスに耽るのだが、これは精神の安定に必要な乳成分の補給であり、やましい行為ではないのです。たぶん。


 ※ ※ ※


「ちゅるぅ、るちゅぷぅ♪ 季紗の、柔らかい……♪」

「んぷぅ、ふぅ……っ。ちゅぅぅっ……♪ 由理のも、私の手にジャストフィットだよ♪」


 唇を重ね、舌を絡めあいながら、乳の感触を確かめ合う二人。

 久々に巨乳をむにゅむにゅする感触に由理は、


(ああ、そっか、私は……)


 なんだか、とても癒されて。


(私……母性に飢えてたのかな。だから、リズさんの胸揉んでると、安心するのかも)


「ふぁ♪ んむぅ、ぴちゅぅ、ちゅぷぅぅ♪」


 キスしながら、季紗が欲情に蕩けた瞳で叫んだ。


「そ、そんなに強く揉んじゃらめぇぇぇ……っ♪」


 母性です。


「な、なに乳繰り合ってんのさぁぁぁー!?」


 声に気付いて、美緒奈みおなも乱入。


「リズねえのおっぱいに飢えてんのは、由理だけじゃねーっての。あ、あたしも由理の揉むかんね!?」

「な、なんでそうなるのよぉぉ!?」


 そのまま3人で、ちゅっちゅして、むにゅむにゅして、ちゅっちゅした。


 リズがいないから、皆、乳成分が足りずおかしくなっているのだ。

 乳成分が、人間の生活にとても重要で不可欠であることは、この事例からも確定的に明らか。


 その頃、イギリスの空港でリズ。


「な、なにかしら。すっごい、狙われてるような寒気が……!?」 

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