君は、ひとりじゃない(強制)

 夏休みも後半。

 同居人のリズが1週間母国イギリスへ帰省するとあって、「リトル・ガーデン」住み込みメイドの由理ゆーりは、久々に一人ぼっちの朝を迎えることに。


(ちょっと、さびしいかな、なんて)


 裸でベッドに潜り込んできたり、お騒がせなお姉さまが、いない朝。

 安眠できるはずなのに、なぜか心にはぽっかり穴が開いたようで。


「ぬぷぅ、んむ……。ぬるぅ、ぢゅぷぅ……」


 そう、いつもこんな風に、朝から濃厚百合キスで起こされて。

 唇の間に割って入る、悪戯な舌が……おはようのキスには過激すぎる熱烈ベーゼが目覚まし代わりで。


「んぷ、んぷっ。んむぅ……、んっ、んむ、ちゅむぅ♪」


 朝から口内を充たす女の子の味も、無いと物足りなかったり……。


「ふぷぅ!? って、だ、誰っ!?」


 ベッドから飛び起きる由理!

 と、隣には。

 いつもならリズの指定席なそこには。


 裸の美緒奈みおながいた。

 由理の唇と、唾液の銀糸で結ばれている。


「やっと起きたか。夏休みだからって、だらけ過ぎじゃねーの?」

「な、な、な……」


 なんで、美緒奈がベッドにいるのか。しかも全裸で。

 聞きたいことは山ほどあるけれど、艶めかしいキスの感触で脳が痺れて、由理は赤くなるしかできない。


 察して美緒奈、唇を指で触れ、にひひと小悪魔顔。


「リズねえいないと由理、生活が乱れてそうだからな! 可愛い美緒奈様が、起こしに来てやったぜ!」

「朝から裸で百合キスのほうが、乱れてるでしょーが!?」


 目が覚めたら隣に、キスの余韻で頬を上気させる、裸のロリ美少女……。

 絵的には、乱れた夜を過ごした事後の朝にしか、見えない。


 それだけではなく。

 キッチンの方から、お味噌汁の優しい匂いを纏い、姿を現したのは。


「ふふ、おはよう由理。朝ごはんできてるよ♪」


 裸エプロンの季紗きさだった。

 にこっと微笑み、長い髪をなびかせて、くるりと一回転。


「あ、朝ごはんより私を食べたいかな? もうっ、恥ずかしいけど……いいよ♪」


 いいよじゃないよと頭痛を覚える由理の前で、お尻が露出した格好で回る季紗。

 裸エプロンをアピールする、エロ若妻的ポーズ。


「……うん。ツッコミたいことはいっぱい有るけど」


 リズのいない孤独なはずの朝を、賑やかにしてくれる天使達。

 ベッドに裸の美緒奈、目の前に裸エプロンの季紗。

 朝からえっちな美少女に囲まれて、由理は胸がどきどき……。


 なわけ、ない。


「たまには! ひとりにしてほしいんですけどぉぉぉ!?」

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