リズ来日編⑪
「そっかぁ……。じゃあ、人違いなのね?」
高等部校舎の、教室の一つ。
リズのクラスメート、高1の
姉が、リズの母と仲良しだった「カオルコ」なのかについて。
「ふんっ、違うに決まってるでしょう。あんなハレンチな人達と、一緒にしないでほしいわっ」
寮母兼、英語教師を務める後條
リズの母、ノラに熱々キッスをされて泣いていた小学生も、今は黒髪が艶やかな美人教師。
薄めの化粧で清楚さが引き立つ、いかにも真面目なおねーさまに成長していた。
「あ、あのキス、未だにトラウマなんだからね私!? あれが刺激的過ぎて、その……」
指で唇をなぞりながら、思い出トリップで頬染め。……ちょっぴり嬉しそうな?
「もう一度あんなキスされたら、私、おかしくなっちゃう。そう思ったら怖くて、誰ともお付き合いできないし……」
「ああ……お姉ちゃん、年齢=彼氏いない歴だもんねぇ」
妹の憐れむ視線に、あなたもでしょうが、と心で毒づく香織子。
眉間の
「とにかく、分かったでしょう。リズちゃんが言ってる「カオルコ」さんは私じゃなくて、
英語教師、後條香織子。
あれ以来ノラとも薫子とも、口をきくどころか会ったことさえないと、妹を突き放した。
「……そんなこと言って、お姉ちゃんてば」
妹の後條るん、にやにやしながら、ふと心に浮かんだことを。
「英語の先生とかやってる辺りさ、ホントは、リズさんのお母さんとまた会いたいとか思ってるんじゃないの? 大学の時もさ、イギリスへ留学するとか言って猛勉強してたじゃない」
「……」
……ぼっ、と。
香織子先生の頬っぺたが炎上した。
「え、まさか図星……?」
「……」
恐る恐る尋ねる妹の言葉に、ぼぼっ、と。
香織子先生の頬っぺたが大炎上した。
それは、どう見ても、恋する乙女の顔。
本音では、金髪巨乳天使の柔らかで熱っぽい唇を、忘れられずにいる……。
「香織子先生! 私とキスしてくださいっ!!」
教室の扉を勢い良く開けて、金髪乙女リズ胸を揺らし出現だ!
「きゃぁぁっ!? 色情魔来たぁぁぁっ!?」
若き日の母親そっくりなリズの容姿にトラウマを掘り起こされたか!
香織子先生は窓際へ後ずさる。
オトナのお姉さんが、まるで狼に食べられるのを待つウサギさんみたいに怯える姿に……リズの中の何かへ火が点いたか。
最上のごちそうローストビーフを前にしたように、じゅるり。
「ふふ、かつてお母様を虜になさった百合キス技術……確かめさせて頂きますわ。キスを極めるため、私は日本へ来たのですから♪」
そして、接近。巨乳で香織子先生を押し潰す勢いで、リズは密着して。
「ま、待ってリズさん! うちのお姉ちゃんは……」
貴女のお母さんの恋人とは、別人だよ?
るんが、そう止める暇も無く。
「銀糸、結合……♪」
唇同士が、合体しちゃいました。
「んむぅ!? ふー、ふみゅぅ……!?」
「ふぅ、んん……んむぅ♪」
女性3人だけの教室に、満開に咲く百合の花。唇を結ぶ銀の糸は、官能を奏でる竪琴の弦。
ちゅぷる、ぴちゃ、と甘い水音を高らかに。
舌で爪弾く愛のハープ。
金髪巨乳乙女リズ、年上の黒髪英語教師を教室の床へと押し倒して、唾液で出来た蜜の滝を……。
「どうですか? お母様に教わった、私の技……」
憧れのお母様に近付けているか、お母様の恋人だった人に、確かめてほしい。
そんな想いを、豊かな胸の奥へ浮かべて。
「はーっ♪ ……はぁ、っ……♪」
リズのキスで、あの幼い日の記憶が、蕩けそうな気持ち良さがフラッシュバックしたか。
愛の快楽麻薬に痺れたように、だらしなく舌を出す香織子先生へ。
「……くにゅぅ♪」
リズは、舌を甘噛みしてあげた。
「ひ、ひぎぃぃぃぃぃ!? んにゅぅぅぅぅぅぅ♪」
……ああ。哀れ、後條香織子、??歳。
教え子でもある金髪の女子高生にキスされて……教師という聖職にあるまじきえっちな顔を、見せてしまうのでした。
※ ※ ※
くすん、くすんと泣きながら、着衣を乱した香織子先生。
「せ、責任取りなさい、ばかぁ……」
リップグロスを塗ったように銀糸でべとべとの唇が、オトナの色気。
「……え。人違い、ですか」
一方リズは。るんに教えられ、硬直していた。
頷くるんの無言の肯定に、冷汗たらり。
リズはてへ♪と可愛らしく舌を出してみせて、
「……oh。ワタシ外人ナノデ日本語ワカリマセーン♪」
「て、停学よぉぉ、ばかぁぁーっ!?」
誤魔化し方まで母親そっくりな、リズさんでした。
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