ロリメイド同盟、締結の申し出
「ちゅ……んっ。ふぶきさん、結構食べてるけど、平気? んちゅぷっ」
百合メイド喫茶「リトル・ガーデン」の百合キス口移しサービス。
食事、飲み物を注文すればたっぷりキスできるこのサービスを、白い髪の小さなメイドふぶき、カウンター席にて堪能中である。
チョコパフェにバナナパフェ、ストロベリーに特製南国フルーツパフェなどなど、パフェ類だけでも「リトル・ガーデン」メニューに載った10種類を制覇。
全部
「くぷ、んむぅ……。だ、だいじょうぶですっ。ふぶき、まだまだ行けますっ♪」
大好きなお嬢様、季紗にキスしてもらってハピネス満開夢心地のふぶき。
でもさすがに、他の少女客達が嫉妬し始めた。
「ず、ずるいです、そのメイドさんばかり! 私も季紗お姉さまとキスしたい!」
亜麻色の髪の輝く美貌、清純派超級アイドルレベルの美少女メイド、
あまり一人でキスしていると、独占禁止法に引っ掛かるのである。
「ふふ、かしこまりました、お嬢様。そうね、ふぶきさんとはもう1時間超えてるし……」
ふぶきの白く長い髪を手で
「ごめんね、ふぶきさん。続きは屋敷で、ね♪」
「そんなっ!? 行かないでお嬢様っ、季紗お嬢様ぁっ!?」
季紗大好きメイドふぶき、こうなったらと財布を取り出し、
「ま、まだまだ注文するですよ! 全財産ここで費やそうと、我が人生に悔い無しっ! 季紗お嬢様をもう一度ご指名ですっ!?」
「こらこら、その辺にしときなさいって」
悪徳ふーぞくに引っ掛かった人みたいになりかけてるふぶきに、ストップを掛けたのは
一つ年下の百合メイド、宮野りりなが、にこっと微笑みフォローを入れる。
「ごめんなさいね。うちのお店、1人のメイドさんを独り占めできるのは、1時間までって決まってるんですよ」
このルールが無いと、今のふぶきのように、好きな子と百合キスし続けたいがために破産する子が出てしまう。
良心的なルールなのだ。
「ぐぬっ、
クールビューティふぶき、露骨に警戒。
「そうやって私と季紗お嬢様の仲を引き裂く気ですね! なんてどろぼーねこっ!」
「……何を言ってるかよくわからないケド。あなた、そんなにお小遣い使って平気なの? 見たとこ小学生みたいだけど」
よしよしと頭を撫でてみたりなんてする由理。ふぶきはその手を払いのけて、
「む、失礼ですよ。こう見えて私、19歳……大学生ですから」
ふふんと得意げに胸を張る、身長140cm台のロリータメイド。
「嘘、年上っ……!?」
由理驚き、そして素直に謝る。真面目なので、目上や年長者に敬語を使うことは怠らないタイプ。
「それは……その、ごめんなさい。年下だと思ってました……」
ちなみにもう一人のメイド店員、宮野りりなは、
「ええっ、19歳!? そ、それってつまり……」
眼をキラキラ輝かせて、
「えっちなコトをしても犯罪にならないわけですね!? じゃあ季紗さんの次は私と……もがっ!?」
危険なコトを口走りそうな彼女の口を、とりあえず由理、手で塞ぐ。
「はい宮野ちゃん、あんたは自重!」
「むぐぅ……。なんで、唇で塞いでくれないんですかぁ……」
上目遣いで不満げに由理を睨むりりな。ぺろりと唇を舐めて、
「ここは唇で唇を塞ぐ場面! 百合キスする場面ですよ先輩! 今からでも遅くないっ、ほら由理さんっ! ……ハァハァ」
キスをねだる。百合メイド喫茶では、よくあることだ。
でもそこへ、
「こ、こらっ! 宮野ちゃんも由理も、何いちゃついてんのさ!? 皆キスで忙しいんだから、サボってんじゃねーっての!」
「あっ、ごめんっ美緒奈!」
「怒ってるみーちゃん可愛い……じゅるり」
びしっと指を突き付け叱る美緒奈に、由理とりりなはそれぞれの仕事へ……もちろん百合キス接客だけど……戻っていった。
その時、由理の背中を見る美緒奈の頬が、ほんのちょっぴり赤く染まっていたのを。
ふぶきは見逃さなかった。
「……美緒奈さんでしたね。貴女に、お話があるのですが」
カウンター席でふぶき、椅子をくるりと回し美緒奈と向き合う。
「突然のお話で恐縮ですが。ふぶきと、ロリ百合メイド同盟を結びませんか?」
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