獏の小箱(ライセンスシリーズ1)
捨 十郎
プロローグ
前口上
運命の出会いというものがある。
私だけの王子様が、白馬にまたがって迎えに来るというのもまた良い。私だって女の子なので、そういったものに対するある種の憧れはある。けれど、話はもう少し現実的だ。そう、「将来の夢は? 就きたい職業は? ビジョンは?」という、考えるだけで憂鬱になる話である。
誰もが大人になる以上、みんなが大なり小なり将来を、どこかのタイミングで決めている。その判断を下す決め手と言えばいいのだろうか、とにかくその理由を、運命と呼ぶのではないか。
サッカー選手のスーパープレイを見て同じくサッカー選手を志したり、手術で九死に一生を得た経験から医師を志したり。逆にそんな大それた理由がなくてもいい。食べるのが好きだったからパン屋になったっていいのだ。きっかけなんてささいな物で構わない。きっかけによって成したものが、あるいは成そうと思うこと自体が尊いのだ。
私の場合、運命とは夢のことだった。みんなが夜、グースカ寝てる間に見るあの夢である。ある夢との出会いが、私の運命との出会いのきっかけだった。十五にして学を志すとは言うが、まさかその通りになるとは思いもよらなかった。
私の名前は三桜弥生(みさくら やよい)。これは私の人生を決定付けた、運命の出会いの物語だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます