第36話意外な一面
オレとフローラはダンジョンの奥地へと足を進めている、レベルが上がりこの階層にいる魔物は非常に強いがもはや俺たちの敵ではなかった。
遠距離では魔法を使い、近接戦闘ではオレが圧倒的ステイタスで圧勝する。
だがそれは一対一という状況のみで言えることではない、オレもフローラも大勢対一に対する魔法を使うことができる。
「なぁ~そろそろ次の階層に行くかねぇーか?。
ここの魔物は手応えがなくてつまんねぇーんだよ
ライトニング」
指先から何本もの雷が放たれ目の前にいる魔物達を一瞬にして黒焦げにしてしまう。
フローラが使う雷魔法の威力は桁違いで耐性のない魔物に1度でも当たれば即死してしまうだろう、耐性のある魔物ですら感電して気絶させる程の威力がある。
「あぁ~そうだな。そろそろ行くか
アースアロー」
ざっと数えて80本以上の土の矢を生成し、襲い掛かってくる魔物達へと向けて一斉に放射する。
一本の攻撃力はさほど無いが一体に何本もの土の矢が襲ってくるため野生の魔物では対処仕切れない。
数々の魔物が断末魔の叫びをあげ死に絶えていく。
「その前に目の前の蟻を倒したらな」
目の前には複数の黒く虫型の魔物は群れで行動しており、単体では然程強くないが目の前の蟻の厄介なところは群れで行動することによってステイタスが変わるというところだ。
「だな、まぁ~あと少しだけどな。ライトニングバースト」
「オレの方にはもういないぞ、手伝うか?」
後ろから突然の爆発と共に蟻の死体が吹き飛んでくる。
目の前には土の矢で貫かれ動けなくなったもの、既に死んだもの、苦痛に喘ぐもの様々な反応を見せていた。
フローラの方へと目をやると感電死した蟻が複数体いた、残っている魔物の数も少なく手助けは必要としないだろうがなんとなく聞いてみた。
「いや、大丈夫。ラストだ! ライトニング」
一筋の閃光が迸り残っていた魔物もフローラの魔法によって倒されてしまう。
辺りには焦げ臭い匂いが充満している、これはフローラの使った雷魔法のせいだ。
オレも最初は火炎魔法を使い焼いていたがこの匂いが嫌だから大地魔法に変えて戦っているのにフローラのせいで意味がなくなっている。
「よし! さっそく次の階層に向かうぞ」
「あっ! ちょっと待てよ。おい!」
オレは魔物が焼けた匂いから逃げるように階段のある方向へと走っていった、本来ならば死体の処理をしたければ他の魔物を呼ぶ危険性があるのだが次の階層へと向かうのだから関係がない。
ある程度離れるとその場で立ち止まり後ろから走って追いかけてくるフローラを待つ。
「置いてくんじゃねぇーよ」
「あの匂いは苦手なんだよ。お前も他の属性で戦ってくれよ」
「そんなこと言ったって雷魔法の方が楽なんだよ」
フローラは追いかけて疲れたのか肩で息しながらも答える。
それはそうかもしれない雷魔法は大勢に対して効果を発揮しやすい魔法が多い、例をあげるとしたらライトニングバーストだろう。
ライトニングバーストは雷の球体を作りだしその球体が何かに触れると激しく爆発する
空中に設置し罠として使うこともできるし敵のど真ん中に投げ込むのも効果的という順応性の高い魔法だ。
「まぁ~いいや、それより階段はあっちだぞ」
「すこし休憩させろや」
戦闘の疲れや走った疲れもあるだろうが速く強くなるためには休んでいる暇などない。
オレは文句を言いつつもついてくるフローラを連れ階段のある方向へと進んでいく、走ったこともあり次の階層へと続く階段へはすぐについた。
「降りるぞ。準備はいいかフローラ?」
「あぁ~大丈夫だ。速く行くぞ」
次の階層へと行くとなるとフローラのテンションは見るからに高くなる。
まだ見ぬ魔物達と戦える喜びだろうか? それともただ単に強くなれるのが嬉しいのか分からない。
「お、おう」
前を歩くフローラにつづきオレは階段を下りていった。
階段を降りるにつれ魔物達が俺たちを待っているような雰囲気を感じるを
だがこれは完全に気のせいだ。
前回降りる時も同じような感覚になったが実際は魔物などはいなかった。
多分これは新しい階層へと赴おもむくさいに生じる特有の現象だとおもっている。
「どうした。ビビっちゃったかなぁー」
フローラはオレの顔を下から覗き込みニヤニヤしていた、その顔は子供に無邪気な笑顔を浮かべている。
「いや、別に。つか俺より弱い癖になに言ってんだよ」
「それは! 種族的にそうなだけだろ! 私の種族は戦闘向きじゃねぇーんだよ」
まぁ~それはそうなんだが。
幻魔という種族は戦闘には向いておらず諜報系統に向いていた。幻覚で惑わし重大な情報を吐かせるのに向いている。
「ふっ」
「なんだよ!! 「ふっ」って!」
「ほら! 次の階層が見えてきたぞ。」
オレはそういうと話しを反らし気を引き締める。
新しい階層は洞窟の中だというのに全体的に明るくなっていた、光源は壁から見えている青い結晶が光を放っている。
地面には大量の植物が自生していた。
「おお~明るいな」
「だな! それに花キレイだな。可愛いな、フフフ」
「え!? どうした?」
突然フローラが地面に生えている小さな花を見て女の子らしく笑う、その笑顔は可憐で美しく見るものすべてを魅力する程の威力を秘めていたがオレには不気味にしかかんじられなかった。
なぜなら普段のフローラは物凄く残念なんだ。キレイな容姿があるのにも関わらずとっている行動は女らしくないからだ。
そんなフローラが花を見てキレイだなんで言うなんてなんか不吉なことが起きる前兆じゃないのか?
「なんだよ、別にいいだろ! 花が好きだって!! どうせ私には似合わねぇーよ」
「いやいや、いいと思うぞ。ただいつもと違うからな。どうせならもっと女の子らしくしたらどうだ?」
フローラは腕を組ながらそっぽを向き怒っている、だがいつもこんな感じではせっかくの整った容姿がもったいない。
急にフローラはそわそわしだし視線をキョロキョロしはじめた、少しだけ顔を赤くし言うか言わないか迷っている感じだった。
本当に熱でもあるんじゃ?
「あ…あのさ……お前は私が女の子らしくなったら惚れるか?」
なに言ってるんだ? コイツは。モジモジしていた理由がそれかよ!!
でも女の子らしくなった方がいいのは確かだな、それにフローラだし惚れるってのも大した意味もないだろう。
ここは少しだけオーバーに言った方がいいんじゃないか。
フローラのためにも………。
「あぁ~絶対惚れるな。もはやお前なしじゃ生きられないくらいに惚れちゃうかもな」
「…そ………そうか」
急に下を向きしおらしくなるフローラをいっそう疑問に思うが速く魔物を倒しに行かなければ。
「ほら! 魔物を倒しに行くぞ」
「あぁ…っ! じゃない。え~っと………わかったわ?」
首を傾げながら言うフローラを無視し聴覚鋭敏化の能力を使い魔物がたてる音を聞き取ろうとする。
ダンジョンにいる魔物は代々は自分が出す音のことは気にしていない。
「近くに魔物がいる。オレが倒すから待っててくれ」
「わかったわ………違うな。」
自分の言葉使いを直そうとしているのはわかったがどこかが空回りして変な言葉使いになっていた。
そんなフローラを微笑ましく思うが一旦保留にして近くにいる魔物へと集中する。
距離は然程離れてはいないから後ろから近づいて先制攻撃をするか。
魔物が出す音をしっかりと聞きながらゆっくりと気づかれないように近付く。
魔物の姿少し犬っぽいが大きさはかなりでかく狂暴そうな面持ちだった。
尻尾は二本あり、額からは角が生え、色は濃青色。
「アースバインド!」
焦って逃げようとする魔物は土の鎖で固定されてしまい動くことができなくなった。
このやり方は少し前からやっているやり方だ、動きを封じ魔眼とステイタス、能力閲覧の能力を使い能力をコピーしてから殺し、安定し安全なやり方だ。
「また……か」
フローラはこのやり方が残酷だと言うが話し合いの末にこのやり方が安全だと分かって貰えたが不満が残っている感じだった。
「安全なんだからしょうがないだろ」
「でも……いやなんでもない」
そんなやり取りをしていても魔物は逃げ出すことは出来ずにもがいていた、オレは目の前の大きな犬型の魔物へと魔眼、ステイタス、能力閲覧の能力を使う。
《種族名:フルムッシュ・ウルフ
魔物ランク B~S
注意点、単体で行動することが多い特異な種族
魔法を使い、敵を翻弄することから高い知能を有すると思われる
また急速にレベルが上がる種族でもある
獲得可能能力、嗅覚鋭敏化 影魔法 隠蔽 成長》
見たところ成長という能力はかなりいい能力だろう、オレは迷わず成長の能力をコピーする。
このまま拘束されるのも辛いだろうと思いオレはフルムッシュ・ウルフに止めをさす。
「アースランス」
オレの頭上に生成される土の槍はフルムッシュ・ウルフの心臓へ向けて放つ。
土の槍は一切の狂いなく急所へと当たりフルムッシュ・ウルフの命を奪う………この瞬間だけは少し自分がやっていることがあっているのか疑問に思う。
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