第3話能力

 パートナーそれは相方………という意味でもあるが様々な意味を持っている。

 それは夫婦を示したり、戦友を示すこともある。

 パートナーという意味は人または魔物の考え方により変わってきてしまう。

 だが決まっていることがある、それはお互いに絶対の信頼していると言うことだ。

 ミラと呼ばれる白髪のヴァンパイアはパートナーを友や眷属と思っていた。


 この世界でのパートナーの存在はかなり大きい唯一裏切らない存在、いや裏切れない存在だ。

 何故なら1度パートナーになると魂が共有されパートナーへの害意が感じ取れるようになる。

 そのためパートナーは心から信頼しないとパートナーにはなれない、一方的に信頼していてもパートナーにはなりえない。

 お互いに信頼することによって“のみ“なれるものだ。



 リクトとミラはパートナーとなる。


 パートナーというものはどういうものかは知らないがミラと仲良くなれたという実感がした、うん、今はそれだけで十分な気がする。

 ふと視線をミラ方へ向けるとミラは少しだけ顔を赤くさせながらもニヤニヤしていた。


 わからない

 なぜだろうか?

 何か良いことでもあったのだろうか

 まぁーいいや………そんなことより!!!


「ミラー、オレッてハーフヴァンパイアになったんだろ? 具体的に何ができるの?」


 自分の現状を正確に知りたかった、いや知らなければならない。

 今後もこの世界で生きていくうえでは必須だろう、というか気になってしょうがなかった。

 そして仮に、ものすごい強さでも増長してはならない。

 ハーフヴァンパイアではあるがオレには才能がないかもしれない

 魔法が使えなかったり、剣術の才能がなかったり、はたまた無能力スキル者かもしれない。

 もし最弱だったら、わざわざ危険な道を行かず、ミラと一緒に田舎でスローライフというのもアリだな。

 あっでもミラって強いんだっけ? 信じてはいないが。

 本人がそう言うなら本当だろう………たぶん。

 嘘を言っているようには見えなかったし。

 もし最強でも田舎でスローライフってのも悪くないな。

 のんびりした雰囲気の村で野菜でも作って慎ましくミラと一緒に暮らそう、うん、それがいい。


「そうじゃな、今は何もできんが成長すれば魔神ぐらいにはなれると思うぞ、なんせ妾のパートナー眷属だしの」


 えっ違う意味で期待外れでしたよ、いやまぁ~うん、強いなら強いでいろいろと楽しみだな、王道ファンタジールートまっしぐらですな、うん。


「具体的になにができるんだ? オレの希望は魔法とか使いたいんだけどできるか?」


 魔法、それは異世界に来たら誰しも憧れるものだろう。

 手から炎をだしたり、土から武器を作り出したり、水や風、雷なんてのもある。

 まさに魔法には無限の可能性がある。

 現代のマンガの知識があれば色々な使い方が出来て強くなれるかもしれない。


「そうじゃなぁーお前はハーだから対して凄いことはできないぞ、今は」


 その言葉を聞いた瞬間思い描いていた夢が壊れた

 だが「今は」という言葉を、聞き逃さなかった今は無理だが努力次第でどうとでもなるということだろう?………たぶん……希望を持とう!

 あっでも、魔法だぞ。あぁ~想像しただけでテンション上がるなぁーーー


 そんな中2全開な妄想をしている最中、ミラの顔が険しくなる。


 何かあったのだろうか?

 俺も気になり周りの様子を見てみる、

 一組の剣士風の男達が取り囲んでいた、町中なのに武器を構え隠れている。

 人数は3人、1人は刀のような武器を今にも抜きそうに構えているやや細身の青年だ。

 もう片方の男は盾とハンマーを装備した大男だ。

 最後の1人はローブを羽織り見るからに魔法使いのような格好をしていた。


 なんだ?すごく殺気が出ているな?

 まさかヴァンパイアってバレたかな? でもおかしいな、おかしなことも……していないし。

 見た目もおかしくはないはずだ………いやオレはおかしいな! だって現代の服を着ているオレたちはさぞや不思議な格好だろう。

 だが服が変だからってさすがに殺そうとまではしないだろう? 普通は、もしかして治安悪い?

 何かの間違いではと思い、ミラに聞いてみた。


「なぁーミラ、なんでアイツら睨んで来んの?」


 ミラは警戒した顔をしていたが同時に悲しげな顔だった

 悲しげな顔のまま説明してくれた


「私達を追い出そうって魂胆らしいな、もしくは殺そうとしているな。魔物だと思われているんだろ、どうせ。まぁ~いい、絶対に手を出すなよ」


 でも、なぜバレたのだろう? 服装は変だが魔族とまでは分からないはずだぞ。

 つか魔物ってだけの理由で殺そうとしてきてるのかよ、あまりに理不尽だろ! おい!

 あれ? でもゲームとかだとすぐに殺そうとしてたけどこれじゃどっちが悪役か分からねぇーな。


 見るからにミラはこういう時の対応に慣れていた、慣れるほど回数を経験をしたのだろう。

 だがいくら慣れているといってもミラの目には少し涙で濡れていた。

 オレには耐えられないな、こんなことが続くなら人との関わりか無くなりそうだ。

 知らない大男に殺気を向けられなんて最悪な経験だ。

 元の世界では滅多にあることじゃない、いやありえないとまで言える。


 突如盾とハンマーを装備した大男がオレに襲いかかってきた。

 驚いて反射的に足が動く、目の前を通過する刺々しいハンマーがするすれで地面に激突する。

 地面の砂は衝撃で飛び散り、ハンマーの当たった地面は驚くほど大きな凹みを作った。

 見た目通りメチャクチャな力だな。本当に人間か?

 あんなものが当たれば即死だっただろう、想像するだけで身震いがする。


「おい、話聞けよ、俺たちが何かしたかよ?」


 男達からの返答はなく、帰ってきたのは言葉ではなく無言の圧だった。

 大男から一定の距離を取りミラの方を見た。

 ミラは刀を装備した男とローブの男に殴られていた、なんの抵抗もせずに。

 小さく綺麗な赤みがかった唇からはまた違った色の液体が流れ落ちていた、血だ。

 それを見た瞬間、心の奥底からドス黒い感情が溢れだしてきた。

 それに抗うこともできなかったが抗おうとすら思えなかった。

 コイツらを殺そうと本気で思った、腸を引きずり出し、頭を潰し、首を切り落とす。


「殺す、絶対に殺す」


 自分でも驚くような低い声を出し、三人を睨み付ける。

 ミラもオレの行動に驚いていた。

 オレの殺気で恐れたのか、3人は同時に一歩下がった。


「「「ひっ!」」」


 だが逃がさない、絶対に逃がしてやるか、最初にローブを羽織ってる男に近付く。

 ミラを殴った男だ、絶対に許してなるものか。

 ローブの男はさらに後ろに下がった、オレが殺気を向けたと気付いたのだろう。

 追い詰めようと更に近づいた、すると突然後ろから押さえ込また上に地面に押し倒された。

 後ろを、向きオレを押さえる奴を確認した、邪魔をする奴も殺してやる。

 殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、、殺し尽くしてやる


 ………そこにいたのは白髪の美少女だった。

 そうミラである。


 それも悲しげな表情だった、殴られた時よりも悲しげな表情だ。

 だが明らかに先程とは違う理由だろう。

 その悲しげな顔はこちらを見ていた。

 その顔を見た瞬間、気が付いたと同時に自分が怖くなった。

 人間を殺そうとしてしまったのだ、なんの躊躇いもなく。

 これが魔物になった弊害だろうか………いや魔物のせいにするの間違いだろう。

 気が付いた時には3人の男達は逃げていた。

 ミラは人間を逃がしたみたいだ、追い掛けようと思えば追い付けるかもしれないがやる気持ちが沸かなかった。

 オレへの拘束をとき、ただただこちらを見ていた。

 その目は怒ってるわけでも、軽蔑の目でもなかった、だがその目は言いたいことはわかっているな?とそんな感情がありありとしていた。


「ゴメン、ミラ、お前が殴られていたのを見て押さえられなかった」


 ミラの表情は少し和らいだ。


「かまわん、説明が遅れた私も悪い。お前は無意識の内に

 半吸血鬼ハーフヴァンパイアの能力を使ったのだ。

 普通なら半年は修行しないと出来ないと思うんだが………。

 それに教えてもいないのにどうしてできた?」


 突然の話でついていけなかったが無意識のうちに半吸血鬼ハーフヴァンパイアの能力というものを使ったみたいだ。

 なんなのだろう


「半吸血鬼ハーフヴァンパイアの能力って?」


 ハーフヴァンパイアの能力とは、

 恐怖克服

 殺気強化

 身体強化

 憎悪増幅

 等々があるらしい。

 主にあるのはこの4つらしい、それを先程をフル活用していたらしい。

 どうりであんな強い奴らを恐怖しなかったわけだ、あのまま戦っても勝てなかっただろう、普通なら恐いしな。

 あとは殺気強化か

 普通ならこんなガキの殺気なら笑って蹴散らせるだろう、あんな大男だしな。

 身体強化は皮膚を固くし筋肉、スピード、反射神経を増幅していたみたいだ。

 だから大男のハンマーを避けることができたのだろう。

 あとは憎悪増幅、これは厄介だ。

 自分を見失う、下手したら強い相手にケンカを売って殺される可能性すらある、コントロールする必要があるな。


「それにしてもそんなにすぐに使えるとはな、あと何日かたったら教えてやるつもりだったが」


 ミラは意外、という顔をしていた、まぁー無理もないだろうこちら側に来て、数時間で能力というものを使ったのだから。


「あのさミラはどうやってオレを押さえたの?

 ミラはどんな能力持ってるの?」


 ミラの持っていたのは

 身体能力倍加 S

 吸血衝動倍加 A

 魔法耐性増加 SS

 再生能力倍加 S

 神正属性ダメージ倍加 S

 などなど

 能力にはF~SSまでがあり

 SS 以上はなくSSになると

 更にいい能力へとランクアップするらしい。

 種族による能力が上の4つらしい。

 他の能力も沢山あるらしいが数を多すぎて言うのがめんどうだと言っていた。

 オレの能力はF~SSのどれだろう。


「なぁーオレの能力ってF ~SSのどれくらい?」


 ミラはどうやって言おうか言わないか迷っているという表情をしていた。

 ミラは少し周りを見渡し人がいないか確認し少し考え込んでいた。

 オレも周りを見渡してみたが平凡な町並みが並ぶだけで人影は見当たらなかった。


「お前の能力の等級はあるアイテムで分かるんだが………持ってない、しょうがない、少し移動するぞ」


「お、おう、わかった」


 ミラは人影を探していたわけではなかったようだ

 等級とはなんだろうか? 話の流れ的にF ~SSの能力のことだろうと予測するがあっている自信がない………まぁーそのうち分かるだろう。

 歩きながらミラに確認してみると、やはりそうだったみたいだ。

 町の裏路地をこそこそと歩いていたらすれちがう人々にジロジロと見ていたが先程みたいにケンカを吹っ掛けてこなかった。

 戦う実力がないのか、関わるのすら嫌なのだろうか。

 またはその両方の可能性もあるかもしれない。

 ミラはジロジロみてくる人々を無視し、目的の店を探していた。

 店の人は魔物を軽蔑の目の見ないのだろうか? 心配だ。

 ミラは嫌悪の存在として見られても平然としているが心を殺しているのが簡単にわかる、いくら隠そうとしても顔に出ている。

 そんなことを考えながら30分ぐらい歩くと目的の店に着いたみたいだ。


「ここか?」


「あぁ~そうだ」



 目的の店は小屋みたいな建物だったが中に入ってみると外見からは想像できないほど広かった。

 物理的にありえないと思ったがこの世界に常識は通用しないなと痛感した、どうせ魔法を使い空間拡張をして中の広さを変えていのだろう。

 店の主人がこちらの存在に気づいた、一瞬「出ていけ」と言われるかと思ったが意外にも普通の対応をしてくれた。


「らっしゃい、お嬢ちゃん何が欲しいの?」


 と店の主人はフレンドリーに対応してくれた。

 ミラはお嬢ちゃんと言われたことに少し眉を寄せたがすぐに欲しい品を言っていった。


「服と装備一式、能力確認カードあとはマジックアイテムを数点だな。」


 店の主人の態度が一瞬にして変わる、無理もないだろうそれだけの量となると金はすごくかかるだろう。

 こんな少女が大金を持っていないと考えるのが普通だろう、現にオレもそう思ってる、大丈夫だろうか?


「おい、お嬢ちゃんひやかしなら、よそ行きな。」


 ミラは店の主人に威嚇をさらりと受け流した


「金の心配はない」


 そういうと、金の入った袋をカウンターに投げた、

 ドンッと大きな音がなった、中にどれぐらいの額があるのだろうか、店の主人も、あまりの金の量に驚いていた。

 店の主人の態度は少し申し訳ないという感じへ変化する。



「なっっ!!すまねぇーな嬢ちゃん最近はひやかしが多くてな、お詫びに店の最高の品を出すから許してくれや」



 店の主人は自分の非を認め、すかさず謝るなかなか好感の持てるおっちゃんだ、先程のバカ共とは違う。

 おっちゃんは店の奥に走っていき、言われた品々を取りに行った。

 ミラとオレはおっちゃんを待つついでに、店の中の品を見ていた、ミラはブツブツと言いながら品を見定めていた。

 オレは何がなんだがわからないのでミラに任せて適当に見て回っる、剣や槍や刀という武器を見て回った、うっすらと光っている新品の剣やこんな武器使うのか? と思わせるような不思議な形の武器などもある。

 ミラになぜうっすらと光っているのか聞くとマジックアイテムだったらしい。

 特殊な金属を使っていて長年使っていると使用者の魔力を吸って能力にあった能力が武器自体に付与されるらしい。


 なにそれ!!!超欲しい!

 ミラに買ってくれとお願いしてみるかな?


 でも前の世界で剣どころか竹刀すら持ったことない、そんなオレには宝の持ち腐れだろうと思い諦める。

 他に面白そうなものがないか探してみれ、すると箱に入った眼球があった

 オモチャかと思い手に取り見てみる、眼球は生暖かった。

 んん?………オレは数瞬の間を置き理解する本物であると。


「う……わぁぁあぁ~ーー」



 手に持っていた眼球を投げるように箱に戻し、その場から慌てて、離れたせいか足がもつれて転んでしまった。

 そんなリクトの声につられてミラとアイテムショップのおっちゃんが何があったのか、と警戒した顔で走ってくる。



「何があった!」

「どうした坊主?」


 オレは恐怖で言葉が出なかった、口をパクパクさせる姿はさぞや滑稽に映っただろう。

 だがなんとか身振り手振りで内容は伝えることに成功する。

 ミラとアイテムショップのおっさんは呆れて苦笑していた。


「なんだ、そんなものにビビりおって。男だろう? 情けない」


「なぁー坊主ビビりすぎだろ、男ならビビんな、情けない」


 二人の言葉に落ち着いたと同時にあまりの自分が情けなさが恥ずかしく思った。

 アイテムショップのおっさんは言われた品々を探しに店の奥に戻っていった。


「まったく、情けない。そんなでは私を守るなど夢のまた夢だぞ」


 ミラはこちらを見てニヤニヤしていた苛めるネタができたとばかりにそんなミラにオレは顔を赤くして反論した。


「しょーがないだろリアルだったんだから、それに耐性が無い奴が見たら誰だってあーなるって」


 オレの言い分はニヤニヤされながら聞きながられた生意気なロリっ娘め後で仕返ししてやる。


「まぁーでもその眼球は大して、人気の品じゃないな」


 ミラの態度は変わり眼球をチラッと見た、ミラも少し嫌な顔をしたのを見逃さなかった。

 ミラだって嫌なんじゃないか! まぁー女の子だししょうがないか。


 でもオレはなぜそんなものがあるのか疑問に思った、ニセモノの眼球を置く理由とは? 義眼か?

 ミラは自分の買い物に戻ろうとオレに背を向け歩き出す、オレはそんなミラに目玉について聞いた。


「なぁーミラ、あの目玉って結局なに?」


 ミラは振り返りチラッと目玉を見て、説明するのもめんどうだという表情をしていた。


「その眼球は魔眼球というアイテム、人や魔物の目を魔眼に替えるアイテムだ、魔眼って言っても能力はすごいのからカスまである。まぁ~ほとんどがカス能力しか当たらん。むしろ逆効果の能力すらある。魔力を吸収する魔眼とかな、魔法使いだと自分の魔法が使えなくなるなんてこともある。

 それにこのアイテムは一回しか使えない

 まぁーこのアイテムで授かった能力を消すアイテムていうのもあるからやって損はないはずだそ? だが二回目はないということだ。

 それに運が良くすごい能力だったとしても制御出来ずに狂い死ぬ

 可能性もあるしの。まぁーいわゆるギャンブルというものだ。

 買ってみるか?」


 魔眼と聞いて中二病かよってツッコミたかったが、話を聞く限り“では“面白そうだった。

 仮にすごい能力を授かる可能性があるらしい。

 もし仮に弱い能力でもアイテムで消せるらしいし。

 いや弱い能力でもないよりいいだろう、マイナスになる魔眼ならば消せばいい。

 うん、面白そうだな、色々と想像が膨らむ。


「よし! 買おう、弱い能力でもないよりましだろう。

 仮にマイナスになる能力ならアイテムで消せばいいしな」


 そんな話をしてると奥から店主のおっちゃんがドタドタと足音をたてながら戻ってくる。

 おっちゃんの手には色々の道具があった、ナイフ、ビンに入った青い液体と赤い液体、軽装の鎧などなど。


「おっ坊主その魔眼球買うんか? 沢山買ってもらったからサービスで一つサービスすんぞ」


 おっちゃんはかなり上機嫌だった。

 あれだけの量だ、かなりの額になるだろう、おっさんの顔はすげー笑顔だった。

 ただで魔眼球というアイテムが貰えるらしい有難いな。


「おっいいね、おっちゃん太っ腹ーついでに

 魔眼球の効果を打ち消すアイテムもおまけしてくんね」


「ん~……坊主は商売上手だな、いいぜ持ってけ」


 そう言って魔眼球と効果を打ち消すアイテムをこちらに投げてきた、リクトはそれを驚きながらも優しくキャッチした。

 魔眼球はニセモノとわかっていても気持ち悪かった、生暖かい温度に妙にリアルな色合いが気持ち悪かった。

 店主のおっさんは様々なアイテムの値段を数え、合計の値段を出していく。


「合計………えぇ~っと、金貨 6枚に銀貨 3枚だな」


 金貨がどれだけの価値があるのか分からないが、見るからに豪華な浮き彫りに、輝く金貨は見るからに高そうだった。

 ミラは店の主人に会計をすまし、アイテムを懐にしまっていく。

 不思議なことに懐にどれだけの物を入れようとも膨らまず重さも感じていないようだ。


 驚かないぞ、もう驚かない、正直驚くことに疲れた。



「ミラ、魔眼球ってどうやって使うの?」


 店のドアに手をかけながら言った

 ミラは青ざめていた、何か変なこと言ったか?

 店を出ると魔眼球の使用方法をミラから聞くーーオレは猛烈な吐き気がする。

 方法は魔眼球を口から体内に溶けることによって自分の目が魔眼球を吸収して魔眼になる、または魔眼になる際痛みが伴うらしい。

 簡単に言うと食べるということになる、そこまで考えていなかった。

 こんなことなら貰わなきゃ良かった。


「食べなきゃならんのか? 他に方法はないのか?」


 ミラの表情が険しくなった。


「あとは眼球をくりぬいて、魔眼球を埋め込むしかないのどっちがいいのじゃ?」


 いきなりグロいな、どうしよう食べるしかないのか? やっぱやめようかな。

 魔眼球をジーと見ていたら、魔眼球の処理について考えると、ため息が出る。

 やっぱり、食わないといけないのだろうか………。


「はぁーーー食わないとっっ....ご」....。ゴクリ


 魔眼球を見てため息をはいていたらミラがオレの手を掴んで、魔眼球を口に放り込まれた、驚きで思わず魔眼球飲み込んでしまった。


「なっっっ何すんだ!?ミラ」


 驚きと怒りで混乱していた割には言葉がスラッとでる。

 体内に魔眼球が入っているのがわかる、食道を通り……胃に落ちた瞬間、魔眼球が溶けて力のような物が左目に集まってきたのが感覚的にわかった。

 途端に左目に痛みが走った、痛みはどんどん強くなっていった。


 左目が焼けるように痛い、眼球が痛くなる経験など無かったから痛みが増した気がした。

 急いで店の前から離れ店のとなりの薄暗い路地に走り込んだ。

 痛みに耐えられず左目を押さえてその場にうずくまるしか出来なかった。


「すまん、そんなに痛いものなのか? 私は魔眼球を使ったことがないからわからなかったんだ。本当にすまん大丈夫か?」


 ミラはオレの様子を見てテンパって心配していた、ミラはあたふたしてうろうろしはじめた。

 何をすればいい? とか聞いてきたが答える余裕はなかった。

 痛い、ただひたすら痛かった。

 男ならわかるだろうか、胯間を蹴られた時の痛みを想像してくれ

 正しくそれと同じくらいの痛みだ。

 しばらく痛みでうめいていると痛みは次第に収まっていき、数分すると痛みは嘘のように消えていく。

 左目を開けてみると最初に見えたのは路地の脇にあった、なんのへんてつもない木箱だ。

 途端に左目から脳へと情報がなだれ込んでくる。


 《ブエルの木、鉄の釘で固定された物、中に入っているものは目視していないので読み込めません》


 脳に直接情報をぶちこまれて見たいで立ち眩みしてしまった。

 先程からミラが大丈夫か?、どうした?、と色々と聞いていた。

 少し余裕がでてきたから返事をする。


「大丈夫だ、痛みは収まった」


 ミラは少しだけ冷静になってはいたがまだテンパってはいた。

 本当に心配そうな顔でこちらを見てくる、オレは微笑を返し安心させる。


「まさかこんなことになるなんて。本当に大丈夫なのか? 私にできることはあるか?」


 安心したからか少し涙目のうえ上目使いで聞いてくる。

 可愛いな、目の保養だ。眼福、眼福!


「目は大丈夫なのか? どんな能力だったんだ?」


 ミラは痛みで呻いている間にどんな能力か気になっていたのかこのロリっ娘は期待半分、心配半分っていったところか。


「なんか見たら頭に情報がなだれ込んできた」


 まぁ~そんなことで怒らないオレって心広いな!

 簡潔に説明してみたが、ミラはわかってなかったみたいだ、ミラは首をかしげていながら考えていた。


「私は魔眼に詳しくないし、ちょうどいい能力確認カードスキルカード使うとするか」


 能力確認カードスキルカードは自分の能力の等級と能力の性能がわかるアイテムだとミラが説明してくれた。

 そういえば元々それが欲しくてアイテムショップにいったんだったな、忘れていた。

 スキルカードのサイズはクレジットカードほどで大きくもなく小さくもなくって感じだった。


「額に押し当てるんだよ」


 ミラの言われるがままスキルカードを使ってみる。

 スキルカードを額に当てて数秒するとポンッと音がしたので目の前に持っていきスキルカードを見る、文字が書かれていたが読めなかった。

 だが先程のように魔眼を使えば情報が分かるので左目を開けてカードを見てみる………読めたは読めたが魔眼のせいか目眩が凄い。



 《物体名:能力確認カード、解読結果

 個体名:三山 利久人

 種族:ハーフヴァンパイア

 種族能力:恐怖克服 D  殺気強化 B

 身体強化 E   憎悪増加 A 

 個体能力:魔眼名 リーディングアイ

 効果:見た物質 魔法の本質を見抜く、魔法の解読、理解》


 という結果だった。

 オレは魔眼は完全に当たりだろう、うん、かなりの当りだな。

 オレは魔眼保持者になったようだ.........。ヤバイな

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