星座を見下ろす街、函館

@kaminokii

第1話

『星座を見下ろす街、函館』


これを読んでくれている貴方は

夜、家に帰って明かりを点けたら、次いでカーテンを閉めるだろうか。

この星座の街では、逆。

夜になると、街の人々は、カーテンを積極的に開いて、街に星の明かりを灯すのだ。

大地に広がる星座を、より明るく灯すために。


人々の日々の営みと笑顔の中に、この街の星明かりがある。

街に放たれた明かりは、この街の『有名な伝説』の一部になる。そう、恋の魔法だ。いくら時代が発展しても、この手の話は無くならない。大切な人と過ごす最愛の時間と、人々の笑顔と、少しの茶目っ気と共に。


函館には、恋の魔法が掛かっている。山から街を見下ろせば一目で判る。三つの星座の街なのだ。

スキ・♡・ハート

この三つが、街に隠れてる。

路地を歩いては判らない。この街は、星座を見下ろす街なのだ。私達は星灯かりの中に住んでいる。


日本三大夜景、函館

北海道新幹線でグッと近くなったこの星灯かりを、その目で見た事はあるだろうか。

スマホで検索する写真では写し取れない、緩やかな迫力がそこにはある。

標高334m、つまり東京タワーとほぼ同じ高さの函館山は、古くから愛されて来た星座を見下ろすスポットだ。この夜景の中には、逸話があって、それを探すのが一つの名物となっている。それが、先ほど挙げた三つの''星座,,だ。函館に観光で足を踏み入れれば一度は耳にする機会のある、非常に有名な伝説なのだが、ご存知だっただろうか?


函館の夜景には、直線と高速道路の曲線に明かりが、それぞれ『ハート・♡・スキ』の三つの文字に見える場所がある。それを大切な人と見ると、恋が叶うという可愛らしい伝説だ。

実際、上空写真で確認しても、そうと取れる場所がある。詳しい場所については詳細を省こう。どうか、貴方の大切な人と見つけて欲しい。


ところで、こんな話をご存知だろうか。

流れ星に願いを託すのは有名だが、初雪に願いを託すという話があるのは、初耳の方も多いかもしれない。

その年一番最初の初雪を、地面に落ちる前に掴めたら、流れ星を捕まえるが如く、願いが叶うというものだ。

函館には雪が降る。これも、マイナーではあるが、実際にある言い伝えの一つだ。

流れ星に願いを込めた事がある人も多いと思う。小さな頃、誕生日ケーキを吹き消す前に、親に促されてロウソクを吹き消す前の願い事を唱えた事のある人も多いだろう。


貴方は、見つける事が出来ただろうか。星の街の三つの星座を。


見上げる星に、見下ろす星座の街灯りに、空から舞う雪に、祝うロウソクに。

この街の至る所に、願い事と美しい時間がある。

それは、ひどく可愛らしく、他愛ないものだ。

大切なのは、それに気付くこと。

自分のそばにいる大切な人と、そんな

ささやかで他愛ない、不確かで夢のある温かなものを

共有できる幸せを、指折り大切にすること、なのだ。


貴方の大切な人は誰ですか。

最近、その人と、幸せを一緒に数えましたか。


幸せな時間は、苦しい時間よりもずっとあっという間で

ささやかで他愛ない幸せが、特別温かく

指折り大切に数えれば数えるほど

幸せは、増えていくものだから


新幹線に乗って、会いにきて欲しい。この街の星座に。

貴方の大切な人と、星を数えるような、他愛ない幸せを。


人々の幸せの数だけ灯るリビングの明かりの中。

星座を見下ろす街より、愛を込めて。

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