6月30日
物知りな友人にメールをする。
すっかり居着いてしまったペンギンの奇行について相談するためだ。
――お久しぶりです。お元気ですか?
挨拶の文面を送ると、すぐに返事がきた。
『ええ、こちらは元気ですよ。そちらはいかがですか?』
ちょっと考えてから、次のようにメールを送る。
――実は、庭にペンギンが住み着いてしまいました。ペンギンは庭に出来た中くらいのクレーターに住んでいるようです。ペンギンは庭を凍りつかせて鳥たちを集めて会議をしたり、死んだ金魚をぺろりと食べてしまったりします。私は困っています。どうしたらいいでしょうか?
『結構なことじゃありませんか』
送信するやいなや、すぐに返信が届いた。
物知りな友人はメールの文を打ち込むのがとても速いのだ。
『なにを困っているのですか? ペンギンに住み着かれるなんて、とてもいいことじゃありませんか』
イイコト?
メールの文面の意味がわからず、頭の中が真っ白になる。
――ペンギンは私の庭を勝手に凍りつかせてしまったんですよ。寒くて仕方なかったです。
『厚着をなさい。それに、もう凍りついてはいないのでしょう?』
――それは、そうですけれど。
『なにせペンギンですからね。それくらいのことは当然なことです。困る事なんてなんにもないですよ』
私はじっと考えてみる。
確かに、困る事なんてなにもないのかもしれない。
――なるほど。
物知りな友人に相談して良かった、と思う。一人で悩んでいたら、いつまでも困ったままでいただろうから。
つまるところ、気の持ちようだと納得する。
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