ヒビツ レヅレ

6月23日

　雨がしずしずと降っている。

　耳を澄ますと、雨のしずしずという音の他に、ぱりっ、だとか、ぺきっ、だとかいう音が聞こえた。

　一体何の音だろうと思い窓から外を覗いてみると、凍りついた地面を突き破って紫陽花が生えている。

　しっとりと雨に濡れ淡い色を振りまく紫陽花は、見た目によらずかなりキツイ口調で「季節外れではた迷惑な」「地面を凍らせるなんて常識がないにも程がある」とペンギンにまくし立てていた。

　まくし立てられているペンギンは「いや、」とか「あの、」とかもごもごと言いながら、ヘコヘコと頭を下げている。