6月22日



 寒い寒いと思っていたら、中くらいのクレーターを中心に庭が凍りついていた。

 驚いてクレーターを覗き込むと、ペンギンの他に、雀や鳩や烏や鷲や孔雀や駝鳥やプテラノドンが集まって会議を開いている。

「ちょっと」

 声をかけると、ペンギンはちらりとだけこちらを見た。でもすぐに会議に集中してしまう。

 私は少し怯んだけれど、気を取り直してもう一度声をかける。

「ちょっと、これはさすがに困りますよ」

 先程より大きな声で訴えかけると、ペンギンやその他の鳥たちが鬱陶しそうにこちらを見上げてきた。

「なにがさすがに困るんです?」

 ペンギンのうんざりしたような言い方と鳥たちの胡散臭そうな目。

「いや、その、あの……」

 言葉に詰まると、ペンギンはさらにうんざりとなにが困るんです? と聞いてくる。

「……寒いんです」

 逃げ出したいのを必死で堪え、かろうじてそれだけを、ごくごく小さな声で答えた。

 鳥たちの間から失笑が漏れる。

「なにが困るっていうんですか。厚着なさいよ」

 ペンギンはそれだけ言って、また会議を再開してしまう。

 私は呆然と会議の様子を眺めていたけれど、どうしても寒さが我慢できなくなり、家に戻ってペンギンの言う通りに厚着をした。

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