4月29日
公園のそばを通ったので、久し振りに中をのぞいてみると、こどもが半分以上も減っていた。
おじさんはスコップで大きな穴を堀ながら、今年もたくさん出荷したからなぁと言う。
「いやー、でもね、毎年いるんだよね、どうしようもないヤツ」
穴から這い出たおじさんが、指折りしながら説明してくれる。
顔のつくりや体つきなんかの形が悪いヤツ、動作がにぶかったり病気がちだったりする生きの悪いヤツ、凶暴だったり指示通りに動かなかったりする歪んだヤツ……。
「そうゆうヤツは出荷せずに、みーんなまとめて、埋めちゃったよ」
埋めちゃいましたかと返事をすると、おじさんは手近にいたこどもを、無造作に穴の中へ放った。
「土がね、肥えるんだよね、土が」
おじさんは穴に土を落とす。こどもがあわてて穴から出ようとして、おじさんのスコップに頭をかち割られた。
土が肥えると、来年また、たくさんのいいこどもが出荷できるんだな、これが。
おじさんのしたり顔と、どんどん埋まっていく穴とを交互に見ながら、私はなるほどと呟いた。
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