【みんなの会】

【みんなの会】


 私の通っていた高校は一般的な県立高校でしたが、とある一つの取り組みから、即戦力として多くの企業への採用率が高いと評判です。

 その取組というのは[みんなの会]というものでした。


 [みんなの会]は学級会の様なもので、授業終わりのホームルーム後におこなわれます。


 ≪一つの決められた議題について話し合いをする≫。

 それが[みんなの会]ですること。ただそれだけです。時間制限はありません。[みんなの会]を終わらせる方法は一つだけ。


 ≪クラス全員の意見が一致すること≫。


 全員の意見がすぐに一致すれば、それで帰ることができます。逆に一人でも違う意見をいう人がいれば何時間たっても帰れない……

 みんなの会はどんなに急いでいる人がいても行われましたし、部活よりも何よりも優先されていました。


 ですから先生にはできる限りばれないようにでしたが、急いでいる子は予め周囲の人に協力を求めておいたり、交換条件を出す、弱みを握る、物を渡してお願いするなんていうこともありました。

 それでも基本的には何度か多数決をとるうちに、人数の多い方に意見を合わせ、少数派を潰していくことが多かったと思います。

 なにより大半の生徒は自分の意見などは持っていなかったので、友達や成績の良い子に合わせていたので回数を重ねるごとに[みんなの会]はスムーズに終わるようになりました。


 学生のときは[みんなの会]の意味なんて深く考えたことはなかったですが、社会に出てからはその有難味が良くわかりました。おかげで私は特に問題を起こすこともなく上手く社会に適合しています。

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