湾岸ベイ!水鳥風船騒動記
アほリ
1#谷津干潟の風船
「あっ!!風船!!きれい・・・」
湾岸千葉の行徳産まれのカワウのクロエは、谷津干潟の杭の上で羽根を乾かしていた時に上を仰いでたとき向こうのららぽーとから飛んできた緑色の風船を見つけた。
「おーい!まってよぉーーーー!!」
ばさばさばさばさばさばさばさばさ!!
クロエは、翼を大きく拡げてはためかせ、杭から飛び上がった。
「おーーい!!カワウのクロエちゃん!何焦ってるのーーー?」
谷津干潟を塒にするアオサギのアオタが声をかけた。
「上!上!」
「あっ、風船ね。嘴で割っていい?」
アオサギのアオタの今さっきから、アオサの大量に浮いていた谷津干潟の水面に餌とりに突っ込んでいた嘴の先が、日の光でキラリと光った。
「ええーっやだーーー!!」
「冗談だよカワウちゃん!それより、あの風船、三番瀬に向かって飛んでね?」
「ほんと?で、三番瀬って何処よ?」
「ズコー!お前、何年カワウしてるんだよ。ほおら、あの倉庫街をどんどんどんどん越えれば・・・」
「ああっ!!そうこうしてるうちに、どんどんどんどん離れていくよ!風船!」
カワウのクロエは、ばさっ!と翼をはためかせるとスピードをあげて柔さかな海風に乗って飛んでいく緑色の風船を追いかけていった。
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