第132話 先だった相手に顔向けできる生き方を
今日は、とても心に染み入りホロリときそうになるお話をお客さまから伺った。
そのお客さまは3ヶ月前に奥さまをガンで亡くされたという
80手前の方だった。
奥さまとは60年近く連れ添ったそうで
そう伺うと、一人になられた寂しさは想像以上だろうなと思えた。
よく世間では奥さまに先立たれた男性は
日常生活も普通に送れないぐらい気分が沈んだり
そもそも、一人で家事がまともに出来なかったり
一人暮らしをしていくには何らかの支障が出ているのを聞く。
けれど今日お会いしたお客さまは
家の中も片付けられていて、コーヒーもいれてくださり
そして、ボケ防止にとピアノを始めたという事だった。
そんなお客さまが、前向きに生きていく理由をポロリと仰った。
「先だった相手が見ているから、顔向けできるように
恥ずかしい生き方は出来ないでしょう」と。
この想いが、残されたお客さまを支え
生きさせているんだなと
私は自分が病気がちだから、先立つ事ばかり考えていたけれど
こういう想いは心にグッときた。
そして60年連れ添ったお客さまのように
私も長く仲良く夫と過ごしていきたいと思った。
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