第56話 乙女の恥じらい?

抗がん剤をやる事になったら一番問題になってくるのは

髪の毛が抜けるってところ。


抗がん剤の具体的な副作用を知らない人でも

抗がん剤=髪が抜ける、という知識はあるものだよね。


それぐらいに有名で必ず出るこの副作用、私が気になっているのは

夫に髪が抜けた姿を見られたく無いというところ。


他人に見られるのは、それほど気にして無い。

夫が、抜けかけの姿や抜け切ったツルツルの姿を見て

無意識に引いたら嫌だなというのが一番気がかりなのだ。


キズの時にも少し書いたけれど、引くっていう態度は表向きに隠したり

出さなかったとしても出ちゃうことあるからね。

そんな故意じゃなくても引いてる夫の姿を見たら多分、私はとても傷つくと思う。


だから夫にね、カツラ買ってもいい?と聞いたの。

医療用ウィッグって、かなり高いし私が保険金代から出すとしても

一言、確認しないわけにはいかないほどの金額だと思うんだよね。


そしたらさ、夫は

「え?帽子だけじゃダメなの?」

だって。ありえねー。こいつ抗がん剤の脱毛舐めてると思ったよ。


だから正直に、私は夫に脱毛した姿を見られたく無い

いくつも買わなくていいけれど一つぐらいは欲しいと話した。


許可(?)は無かったけど、まぁ報告はしたんだから

私は買う気満々だ。

だけど医療用の高いしウィッグの値段知ったら


「やっぱ帽子だけで良くない?」


と言われるのかな。

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