第36話 やっと病室へ

朝になってからもHCUでの生活は辛かった。


相変わらず動けないから目をつむるしかない。


でもやっぱり朝6時からはまた1時間おきに

バイタルチェックがある。


痛くないですかと問われるが、あきらかな痛みはない。

多分、背中から苦労していれた痛み止めが効いているのだろう。


今日は部屋に戻る前にこれから歩く練習をするという。

痛みより、管だらけの身体でどうやって歩いたら

いいのだろう?と不安だった。


ベッドのリクライニングを上げて、まずは座る。

そこからベッドの横に足を投げ出してスリッパをはき

点滴がぶら下がっている台を掴みながら身体を立たせた。


あれ?別に痛くないし思っていたよりいけそうだ。


二人の看護師さんに付き添われて、部屋の中をクルクル歩いてみる。


フラフラしないか、とか痛みなどを聞かれるが

お腹の引きつれた違和感と、何となくの痛みがあるだけで

平気だったため、ノソノソ歩きなものの

どんどん歩いて驚かれた。


という事は皆、術後の初歩きは

ここまで歩けない、歩かないってこと?と周りの空気から

感じたのだった。


私からしたら、手術前から散々

いろんな看護師さんから、術後はすぐにどんどん歩いてもらいますからね

という話をされていたので


兎に角、頑張って歩かなきゃと思っていたのだ。


ほら、皆が驚くほど歩いたんだから

早く自分の病室へ戻してよ、と思っていたが

律儀に14時まではHCUのベッドに、じっと寝させられていた。


やっと時間になり帰れる時になると

車椅子がきて病室へ連れていってもらえたのだった。

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