愚かなりしは、人か我か

タイトルの通りである。


愚かなりしは、下に我か人か。それはその時々によって決まる。

ランボーの出ていたプレデターで、最後に自分を囮にして仲間を守った戦士がいたが、あれのつもりであったのが、うっかりミイラ取りがミイラになっていはしまいか。


そうならないよう、常に気をつけていなければいけない。

とりあえず、来るもの拒まず、去るもの追わず。そういった心境にて。

してあげた分を返せとは言えない。そんな権利は誰にもない。ただしてあげたかったのだろうと、ボランティア精神を鑑みるばかりで、これは言わば私の趣味である。

人間を、育てている。

そう思えば良いのである。


嬉しい時は共に喜び、悲しい時は共に悲しむ。綺麗なものを見てああ綺麗だなと思い、楽しいことをして楽しいな、と思う。

そういった相手に出会えたと、そういうことなのだろう。


育てがいがある。骨が折れるが、とてもやりがいがあるぞ、この仕事は。


そう思って腕まくり一つして、さっそく霧吹きをしゅしゅしゅと部屋に掛けた。

匂いがこもる。それではいけない。

とりあえず窓を全て開けて、あけすけにしなくては。


隠し事が世間様にあってはいけない。

それは恋愛沙汰にのみ限るだろう。

それすら隠せない世の中だと知ったが、まあそれもいいさ。


とりあえず、腐っている者を一つ残らず良い心地にしてやらなければ。

私はアロマエッセンスを炊き、部屋を磨き始めた。

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