女盛り25歳、冬眠中
Zukin
第1話 ただいま
2016年3月31日
この日をもって一年間の休職が決まった。
絶望でしかなかった。
絶望の果ての心は無であった。
実家での療養生活が始まる。
職場は関東、実家は東北である。
最寄りの駅から実家まで約20分。
「寒いから早く家の中に入りたい。」
最早、私の脳ミソは本能的な思考のみだけ機能していた。
冷たいドアに手をかける。しかし、開かない。
あ、そうだ。鍵がかかってるんだ。
実家の鍵は、今は津波に流されてなくなってしまった本籍地である家と同じ方法で隠してある。
懐かしいなあ…。そんなことを思いながら鍵を発見する。
ああ、やっと家に入れる。ひと安心した。夜行バスから電車に乗り継いで徒歩20分、体は言わずもがな疲弊している。しかし、鍵が合わない。どういうことだ。家に入れない。
力づくで鍵を回そうとしても、水に濡らして差し込んでみても、暖めても鍵は回らなかった。何故だ。分からない。
家に入れないまま、一時間が経過していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます