#21 Connect
「う~ん」
妖怪変化、その変異変身の類が完了したのか、ここぞとばかりに大きく背筋を伸ばすシャーロット?
変化後の彼女の基本的な外見イメージコンセプトの
彼女の見た目について、その場で直視し一見した感想を言わせて貰えるのならば、かつての歳不相応にあどけない顔の造形は身体相応の顔つきに変化し、それを支える肉体が――その何と表現すればいいのか、数分前とは見違える程に大きく女性的に生育している。全体の背丈は僕より少し高いぐらいで、年齢も多分僕より少し上。
そして何よりも、背筋を伸ばしたことで凶悪的に強調される圧倒的な胸部装甲がなんつーか半端なくヤバい。暴力的とすら言えるほどに豊満でセクシャルな深い胸元が大変けしからんことになっている。
おおう……うん。思わず言葉を失う程と形容すれば恐らく、同性の理解は得られるだろう。だがしかし、その貴兄らの想像の二割増しでヤバイと当事者として追記しておく。
とは言え、これが本物の欧米人の威力か。いや、欧米人かは知らないけど、出自に関係無くとにかくヤバい。著しくピンチだ。
思春期男子のウブで純粋な僕にしてみれば、完全なる
灰色のピュアボーイにはどうにも刺激が強い。荷が勝ち過ぎで、圧倒的に分が悪く、マジ半端ない。なにあれ、もはやメロンかよ。何だよそれ。もう…。
「どうしたの? 雪人?」
なんだか心なしか、口調も大人びたものになっている様な……いや間違いなく絶対に確信を持ってそうなっていると言える!
その原因は、成長した身体に精神が引っ張られたのか、はたまたその逆なのか。その正答は、どうやったって意味不明なので――想像改め、妄想するしかない。
「いや、何でもないよ。マジで、うん。確実に」
慌てて目線を上げ、彼女の瞳に向ける。目を合わせると、思わずドキリとした。
大きな蒼い目が僕をじっと見つめている。
やっぱりどう見ても美人だし、どう考えても美人だよなぁ。ときめくなって方が無理なもんだよ。
だけどさ、
「でもさ、現状君の姿が魅力的に変化しただけで、置かれた状況についてはその、結局何の説明にもなっていないんだけど……」
「あー、そうね。でも、言葉じゃ上手く伝わらないから、直接口で伝えるね」
それって詰まるところ同じなのでは…。
そんな僕の心の声は遮られる。
混乱している僕の右頬にひんやりとしたものが添えられた。彼女の左手だ。
そして左頬にも同じように手が添えられた。透き通るような白くて長い指。
心臓が再び跳ねた気がしたが、僕に身に迫っていた『それ』はそんな枝葉の心情を悠々と飛び越えるものであった。
ちょっと待て?
何で目を閉じる?
何で顔が近づいてくる?
まつげ長い。肌白い。え? え? え? お?
互いの吐息のかかる距離。
自分以外の体温を近くに感じる感覚。
白波の様に美しく優しい長髪から甘い匂いが漂ってくる。
って、え? このシチュエーションは…オイオイ、まさか―――
そうして僕らは、互いの唇を静かに重ねた。
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