異世界ダイアリー ~僕の異世界旅行記~

高木健人

プロローグ

僕は常々、旅をしたいと考えていた。

 人生に不満があったわけじゃない。

 むしろ僕の人生はとても穏やかで幸福なものだったと思う。


 けど時々、流れ行く雲をボーっと眺めて、大地の果てへ消えていくのを見てたりすると、気ままに見知らぬ土地を歩いてみたいなあ、なんて考えてしまう。



 はて、そんな僕の願いが叶ったのだろうか。

 気がついたら僕は異世界にやって来ていた。

 それもただ異世界に飛ばされただけでなく、この世界では地球の電気と同じくらいあって然るべきである魔法に精通した状態でだ。


 でも別に異世界は世界の危機に瀕しているわけでもなく、至って平和だった。

 どうやら世界を救うために異世界へ呼ばれたわけではなさそうだ。


 この世界がどんな感じか、と問われたら僕は西洋風ファンタジーの世界としか答えようがない。

 けれど特別文明が発展してないわけでもなくて、とても簡単な機械ぐらいならある。


 それに真髄は魔法を使った文明社会だ。

 昔夢見た飛行船が動力を使わず飛び立つ様は非常に感動的だった。


 と、まあ、そんな感じで異世界に馴染んでいる。


 さて、折角訪れた二度目の人生だ。

 どうせなら心行くまで楽しみたい。


 お気に入りのフェルトハットを被って、

 旅の途中で出会った少女・ソフィアと一緒に、

 今日も僕は旅をする。

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