鼻ほじり屋の新たなる旅立ち
第29話 森の脅威③
みんなが一瞬凍りつく。長老が杖を突きながら、耳に手を当てて聞き返す。
「え? 森の酒? ふむ、老いぼれの私も若い頃は酒を飲んでたぞ! スライム汁で作った酒じゃな!」
「いや、森の主だよ! 主!」
俺が大声で訂正するけど、タイミング悪く、地響きがまた鳴り響く。森の木々が揺れ、葉がパラパラ落ちてくる。みんなが武器を構える中、巨大な影が木々の間から現れた。森の主——でっかいクマみたいな獣で、体は緑のスライムに覆われて、目がギョロギョロ光ってる。口から汁を垂らして、吼える声が森全体を震わせる。
「ぐおおおおお!」
「スライムに寄生されてるのか!? 長老の肥料の影響かよ!」
エミルが魔力を溜めながら叫ぶけど、髪がまだアフロ気味で、みんなが吹き出しそうになる。タケウチが火の魔法を準備、エゼキエルが剣を構える。
「姉様、俺が守る! あのクマ、斬る!」
「エゼキエル、クマじゃなくて森の主よ! 待て、突っ走るな!」
エゼキエルが突進するけど、汁のべたべたで足が滑って転んで、森の主の足元にダイブ。主がびっくりして後ずさりするけど、エゼキエルが棍棒みたいに剣を振り回して主の鼻を叩こうとする。
「えい! ……あ、剣がべたべたに絡まった! 抜けねぇ!」
「バカ! 剣で鼻ほじりすんな!」
ベントラが棍棒で主の足を叩くけど、主の体がスライムで弾力あって、棍棒が跳ね返ってベントラの頭に直撃。
「ぐはっ! 俺の頭、キュウリみたいに割れるぜ!」
「おいおい、キュウリ頭のプライドはどこ行ったよ!」
ミコトが分身の術で主を囲もうとするけど、ポンコツで分身が主の汁に触れて溶けちゃう。師匠が手裏剣を投げて主の目を狙うけど、ミコトがジャンプしてキャッチしようとして失敗、手裏剣が主の鼻に刺さる。
「師匠の技、キャッチ! ……あ、刺さった! 主の鼻に!」
「ミコト、それでいいじゃん! 結果オーライだな!」
主が痛がって暴れ回り、木をなぎ倒す。エミルが魔力でバリアを張るけど、嫉妬の余波か魔力が乱れてバリアが風船みたいに膨らんでみんなを弾き飛ばす。
「わ、私の魔力! サトル、ほじって直して!」
「鼻ほじりで魔力直すのかよ! 」
タケウチが火の魔法で主のスライムを焼き払おうとするけど、火力が弱くて主の毛がチリチリ焦げるだけ。主がくしゃみして汁を飛ばし、みんな緑のシャワー浴びる。
「ぐおお……あぷしゅん!」
「汁シャワー! みんな、鼻ほじりタイムだぜ!」
俺は主の暴れを避けながら、鼻ほじりで主の鼻に飛びつく。主の鼻腔はでかく、指が奥まで入る。緑の塊を掴んで引き抜くと、主がびくんびくん震えて、スライムが剥がれ落ちる。みんなの攻撃で弱体化し、主がようやく倒れる——と思ったら、主が小さくなって普通のクマに戻る。
「ぐう……」
「森の主、元はただのクマだったのか! スライムに操られてただけかよ!」
長老が大笑いしながら杖でクマを突つく。
「え? 森の酒? いや、主じゃな! 老いぼれのペットじゃったぞ、このクマ! わっはっは!」
みんながポカンとして大笑い。結局、長老の鼻水肥料がクマにスライムを寄生させて森の主に変身させたのが原因。クマが目を覚まして長老にじゃれつき、みんなで大笑いしながら解決。
「次は長老の鼻ほじり大会だな!」
「・・・大会とな」
何気ない一言で場の空気が変わる、そう正にそれは殺気だった。
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