第6話 当然の如くドラゴンを倒す②

「おい! 早く魔法打てよ!」


 標的であるドラゴンは俺の頭上で獲物を物色するかのように円を描きながら滞留している。

 しかし、絶好のハンティングチャンスにも関わらず、あれ程自慢してきた魔法を出し惜しみする少女にいら立ちを隠せない。


「ここからじゃ、狙いが定まらないわ! 魔法にだって数に限りがあるんだからそうホイホイ打てないわよ!」


「くそが! 使えねえな」


「聞こえてるわよ!」


 聞こえるように言ったんだからそれでいいのだ。


 

 ◇ ◇ ◇


 

「おい! ドラゴンいつ降りてくるんだよ!」


「知らないわよ! ドラゴンに聞いて!」


 ドラゴンが真上に来て5分ほど経過。

 未だに赤い影は太陽を包み込んだままで森は薄暗く、夕刻のように暗い。

 それにしても妙だ。

 先程、ドラゴンが現れた時は真っ先にこちらに向かい、襲おうとしてきた。

 しかし、今回は違う。

 まるで、何かタイミングを図っているかのように何か引っかかるぞ。


 タイミングを図る... ...?

 ______まさか!


「おい! お前! 早くこっちに来い!」


「え!? 何でよ! あたしまで囮になってどうするのよ!」


「馬鹿野郎! 囮は俺じゃない! あいつだ!」


「ん? あいつ______?」


 俺はそう言うと頭上を指さし、金髪の少女は天を見上げる。

 金髪の少女が上を見上げた時、その一瞬。


 背後から現れた赤い怪物に金髪の少女は丸呑みにされてしまった。

 

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