第20話 入寮

無事に王都に到着した。途中魔物にも襲われたが馬車の護衛の人達が問題なく倒してくれた。よかった。よかった。


すぐに文官養成学校に向かい、入寮の手続きをする。制服や教科書を受け取りながら寮での注意事項を聞く。ではキーン君、あなたの部屋へ案内しますと寮の管理人のおじさんが切り出したところで、ケビンさんとはお別れになる。


「じゃあなキーン。頑張れよ」


「はい。ケビンさん。お世話になりました」


オウ!といってケビンさんはさっさと行ってしまった。案内された部屋はなんと一人部屋だ。管理人のおじさんに聞いてみると、普通の生徒は実家から通ったり、学校の近くにある屋敷から通うので、寮の部屋数には余裕があるということだ。普通の生徒って貴族のことか。では寮に住むのは自分のような平民だけなのかな?


「平民の特待生。商人の子なんかも寮だよ。たまに貴族のご子息もくるがね」


なるほどー。ありがとうおじさん。


「そうなんですね。ではあまり揉め事は起こりませんか」


「そうだなぁ。なくはないがそんなに心配しなくて大丈夫だよ。何かあったらいつでも相談に来てくれていいからね」


「はい。よろしくおねがいします」


おじさんはそのまま出て行った。

改めて部屋を見てみる。ベッドと勉強机が部屋の大部分を占めている。棚が一つあるが本棚かな?クローゼットもあるようだ。トイレは共同だからない。うん、でもいいね。プライベート空間ゲットだぜ。


窓はあるもののカーテンはついているので外から覗かれることもない。入口のドアには鍵もかかる。この部屋のなかであれば「自宅」を発動してもバレないだろう。大変よろしい。しばらく姿をくらませても部屋にいるんだろうくらいに思われるはずだ。


町長さん!学校に送り出してくれてありがとう。今まで脳内でグチグチいってすみませんでした。これからは心を入れ替えて頑張ります。あと生活費だけはちゃんと送ってくださいね。僕はあなたのお抱えの道化なんだからさ!


ギブアンドテイクでいこうじゃないか。あんたが金を出す。俺は優秀な平民を演じる。それであんたの町長としての評価が上がるんだろう?分かりやすくていい関係だよな?


はっ!?反省したそばからダークサイドに飲み込まれるところだった。いかんいかん。冷静になるんだ!キーン!


それにしても早めに学校の環境に慣れた方がいいよね。今はまだ情報が足りない。

「自宅」でジャンピング土下座のレベル上げをするのもありだが、やはり事前の情報収集って大事だからさ。


管理人のおじさんの話だけじゃ分からないことが多すぎる。入学式まではもう数日あるから、それまでに色々調べよう。授業の予習なんかもできればしておきたい。


ええい、やることが多いな。まずは寮内の確認からだな。両隣も既に生徒がきているらしいから、挨拶にいこう。


おとなしい子羊のような人だったらいいな。自分ひとりが狼さんに狙われないですむもんね。平民どうし仲良くしましょうぜ!ダンナ!とかいって隣が貴族だったらへこむな。どうか友達になれそうな人でありますように!


コンコン!こんにちは!いらっしゃいますかー?

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