第14話 虎とお嬢様の休日 急

・・・・・・私、この子に本当に恋してしまいましたわ。

出会った時は、猿かと思っておりました。


今でも思っておりますが、知り合ってみれば可愛いものです。

今も私のいたずらに驚いておりますわ。


虎太郎は、私が猿から人に育てて見せます。

そして行く行くは、私の伴侶としていただきます。


これも花嫁修業の内、子育ての練習もかねて夫を育てますわ。

お母様がお父様を結婚前から自分に相応しく躾けたように。


グレーデン家の女は狙った獲物は逃しません。


グレンダは心に炎を燃やした。

そんなグレンダを虎太郎が抱きしめて、道の端の壁寸前まで押しやる。


「先輩、何を呆けとるんじゃ危なかろう?」

グレンダの内心を知らない虎太郎、傍から見ると寄り切っぽい壁ドンです。


一方グレンダはというとまだ、自分の世界にいた。

・・・・・・か、壁ドンですわっ!!


虎太郎の声は聞こえていない、もう少女マンガのヒロイン状態で

虎太郎の首を抱きしめる。


虎太郎も、虎太郎でグレンダに抱きしめられて混乱していた。


「・・・・・・き、基地ば帰るとです!!」

虎太郎はグレンダの足を掬い上げてお姫様抱っこして、猛ダッシュで

学園へと走り去った。


後にこの一件は「音速のお姫様抱っこ事件」と呼ばれる。






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